1714465 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

ゴジラ老人シマクマ君の日々

ゴジラ老人シマクマ君の日々

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

シマクマ君

シマクマ君

カレンダー

バックナンバー

カテゴリ

カテゴリ未分類

(1)

読書案内「日本語・教育」

(21)

週刊マンガ便「コミック」

(84)

演劇「ナショナルシアターライブ」でお昼寝

(35)

徘徊日記「日帰りでお出かけ」

(62)

演劇「劇場」でお昼寝

(2)

映画「元町映画館」でお昼寝

(93)

映画「ちょっと遠くの映画館」でお昼寝

(26)

映画「シネリーブル神戸」でお昼寝

(90)

読書案内「映画館で出会った本」

(18)

読書案内「翻訳小説・詩・他」

(53)

読書案内「漱石・鴎外・露伴・龍之介・百閒・その他」

(23)

徘徊日記「垂水・舞子・明石」あたり

(53)

読書案内 「医者や科学者の仕事、まあ科学一般」

(27)

読書案内「現代の作家」

(100)

徘徊日記「お泊りでお出かけ」

(67)

徘徊日記「神戸・元町・三宮」あたり

(85)

読書案内「絵本・児童文学」=チビラ君たちへ

(48)

読書案内「社会・歴史・哲学・思想」

(77)

読書案内 「芸術:音楽・美術・写真・装幀 他」

(30)

読書案内「近・現代詩歌」

(54)

徘徊「港めぐり」

(4)

バカ猫 百態

(22)

読書案内「橋本治・加藤典洋・内田樹・高橋源一郎・他」

(18)

読書案内「水俣・沖縄・アフガニスタン 石牟礼道子・渡辺京二・中村哲 他」

(20)

読書案内「鶴見俊輔・黒川創・岡部伊都子・小田実 べ平連・思想の科学あたり」

(15)

映画「OSミント・ハーバーランド」でお昼寝

(2)

映画「こたつシネマ」でお昼寝

(13)

映画「パルシネマ」でお昼寝

(30)

読書案内「昭和の文学」

(25)

読書案内「BookCoverChallenge」2020・05

(16)

読書案内「くいしんぼう」

(9)

映画「Cinema Kobe」でお昼寝

(5)

週刊マンガ便「ちばてつや・ちばあきお」

(9)

週刊マンガ便「石塚真一・浦沢直樹・ハロルド作石」

(34)

週刊マンガ便「鈴ノ木ユウ・野田サトル」

(19)

ベランダだより

(151)

徘徊日記 団地界隈

(112)

徘徊日記 兵庫区・長田区あたり

(26)

徘徊日記 須磨区あたり

(29)

徘徊日記 西区・北区あたり

(10)

徘徊日記 灘区・東灘区あたり

(41)

徘徊日記 美術館・博物館・Etc

(5)

週刊マンガ便「吉田秋生・高野文子・やまだ紫」

(7)

徘徊日記 芦屋・西宮あたり

(11)

読書案内「大江健三郎・司修・井上ひさし・開高健 他」

(14)

読書案内「古井由吉・後藤明生・他 内向の世代あたり」

(3)

読書案内「谷川俊太郎・茨木のり子・大岡信 あたり」

(19)

読書案内「啄木・白秋・晶子 あたり」

(4)

読書案内「丸谷才一・和田誠・池澤夏樹」

(11)

読書案内「吉本隆明・鮎川信夫・黒田三郎・荒地あたり」

(13)

週刊マンガ便 「松本大洋」・「山川直人」

(13)

読書案内「リービ英雄・多和田葉子・カズオイシグロ」国境を越えて

(5)

読書案内「村上春樹・川上未映子」

(13)

映画 パレスチナ・中東の監督

(6)

読書案内「近代詩 賢治・中也・光太郎 あたり」

(7)

映画 韓国の監督

(25)

映画 香港・中国・台湾の監督

(37)

映画 アニメーション

(13)

映画 日本の監督 ア行・カ行・サ行 是枝・黒沢

(53)

映画 日本の監督 タ行・ナ行・ハ行 鄭

(26)

映画 日本の監督 マ行・ヤ行・ラ行・ワ行

(16)

映画 イギリス・アイルランド・アイスランドの監督

(41)

映画 イタリアの監督

(21)

映画 ドイツ・ポーランド他の監督

(24)

映画 ソビエト・ロシアの監督

(11)

映画 アメリカの監督

(99)

震災をめぐって 東北・神戸・原発

(3)

読書案内「旅行・冒険」

(4)

読書案内「本・読書・書評・図書館・古本屋」

(13)

映画 オーストラリア・ニュージーランドの監督

(5)

映画 フランスの監督

(49)

映画 スペイン・ポルトガルの監督

(10)

映画 カナダの監督

(5)

映画 グルジア(ジョージア)の監督

(15)

映画 ウクライナ・リトアニアの監督

(7)

映画 イスラエルの監督

(3)

映画 マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、スロベニアの監督

(6)

映画 オランダ・デンマーク・ベルギーの監督

(10)

映画 フィンランド・スウェーデン・ノルウェイの監督

(6)

映画 トルコ・イラン・カザフスタンあたりの映画監督

(12)

映画 ギリシアの監督

(3)

映画 アルゼンチン・ブラジル・ペルー・チリの監督

(6)

映画 ハンガリー・ルーマニアの監督

(5)

映画 アフリカの監督

(3)

映画 スイス・オーストリアの監督

(3)

読書案内 戯曲 シナリオ 劇作家

(1)

読書案内 ジブリの本とマンガ

(5)

週刊マンガ便「小林まこと」

(9)

読書案内「野口武彦・前田愛・橋川文三・藤井貞和」

(2)

映画 インド・ネパール・ブータン・アフガニスタン・タイ・ベトナム あたりの監督

(5)

週刊マンガ便 キングダム 原泰久・佐藤信介

(17)

読書案内「川上弘美・小川洋子・佐伯一麦」

(9)

読書案内「立花隆・松岡正剛」

(5)

日記/記事の投稿

コメント新着

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2020.02.14
XML
​​​​​​​​​​週刊読書案内 川上弘美「神様」・「神様2011」(講談社)
​​​​​​​​​​​​​ 高橋源一郎「非常時のことば」(朝日文庫)という評論を読んで感想を書きました。その本の二つ目の評論というか、「非常時のことば」第一章だとすると、第二章「ことばを探して」というタイトルの評論なのですが、その章で川上弘美「神様」「神様2011という作品が丁寧に読み返されています。

 ​​​​​​​​「神様」​という作品は1996芥川賞をとった「蛇を踏む」より、二年早く書かれた、彼女のデビュー作ともいうべき作品ですが、お読みになったことがある方はご存知のように、「くま」がアパートの三つ隣に引っ越してきて、まあ、いろいろ丁寧な挨拶があって、ある日、誘われて河原までお弁当を持って散歩に出かけてお昼寝をして帰ってくるというお話しです。
 
​​​​2011に東北の震災がありましたが、川上弘美はその年に、この作品を書き直して「神様2011として、同じ講談社から再刊しています。この本には「神様」「神様2011が両方とも入っていてお買い得ですが、ともに、とても短い作品です。
 ​​​​この、
​一冊の小さな本で読み比べることのできる、二つの「神様」という小説は、ぼくのような、粗雑な読者には「地震があった後の世界」と、「地震のことなど夢にも想像しなかった世界」という二つの世界が描かれていることくらいまでは理解できるのですが、その二つの世界に、同じように登場する、この「くま」って、いったい何なんだという訳のわからなさを増幅させただけで終ってしまいかねない作品でした。​
 
​​​その「神様」高橋源一郎は見事に読み解いていました。​​​​​​

​​​​ 久しぶりに出現した「神様」は、黙って、自分を必要としなくなった国を歩き、おそらく、数少ない信仰の持ち主である「わたし」を抱擁するのである。そういえば、ドストエフスキーの大審問官に対しても、最後に、場違いのように出現したキリストは、その唇に口づけをして、何処ともなく去ってゆくのだった。
 「神様」の世界は。守がない世界を生きているぼくたちの悲しみを、そっと静かに、救い上げたような小説だった。(1994年版「神様」評)​​​
​​​​ だが、「あのこと」が起こった。​​
​​​​ ​「くま」​とは神なき時代に出現した神なのですね。ここで​「大審問官」​の例を引っ張り出してくる、その読みの卓抜さに、まず、うなりましたが、​「あのこと」​が起こった結果「神様2011」として、川上弘美によって書き直された本文について高橋源一郎の結論は以下のようなものでした。​​​​
「親しい人と別れる時の故郷の習慣なのです。もしお嫌ならもちろんいいのですが」
 
わたしは承知した。(くまはあまり風呂に入らないはずだから、たぶん体表の放射線量はいくらか高いだろう。けれど、この地域に住みつづけることを選んだのだから、そんなことを気にするつもりなど最初からない)
 
くまは一歩前に出ると、両腕を大きく広げ、その腕をわたしの肩にまわし、頬をわたしの頬にこすりつけた。くまの匂いがする。反対の頬も同じようにこすりつけると、もう一度腕に力を入れてわたしの肩を抱いた。思ったよりもくまの体は冷たかった。​(「神様2011」)
 ここで「わたし」は、「この地域に住みつづけることを選んだ」と「神様」の前で告白している。この部分こそ、「神様2011」の白眉の個所ではないだろうか。​​
​なぜ、「あのこと」が起きたのか。
​​それは、人々が、「神様」を信じなくなったからだ​​
 ​​一つの世界だけを見ていながら、同時に、その世界に重なるように、震えて、かすかに存在している、もう一つの世界。そんな、においや気配しか存在しないような世界を感じとること。それこそが、なにかを「読む」ことなのだ。​​
​​​ ​二つの作品をお読みになったことがあれば、これで十分納得していただけるのではないでしょうか。
 少しだけ補足すれば、高橋の引用は「神様2011のお別れの抱擁のシーンですが、1994版「神様」ではこうなっています。​ ​​​

​​「抱擁を交わしていただけますか」くまは言った。「親しい人と別れる時の故郷の習慣なのです。もしお嫌ならもちろんいいのですが」わたしは承知した。くまは一歩前に出ると、両腕を大きく広げ、その腕をわたしの肩にまわし、頬をわたしの頬にこすりつけた。くまの匂いがする。反対の頬も同じようにこすりつけると、もう一度腕に力を入れてわたしの肩を抱いた。思ったよりもくまの体は冷たかった。(1994年版川上弘美「神様」)

 ​​​​上記の引用の太字の部分が2011年版で加えられた記述ですね。高橋はその追記部分を問題にしています。それにしても、高橋源一郎「読み」の定義は、素晴らしいですね。詳しくは川上弘美「神様2011」(講談社)・高橋源一郎「非常時のことば」(朝日文庫)をお読みください。​
​​​追記2010・02・14
 
​​​高橋源一郎「非常時のことば」の感想はここをクリックしてみてください。
​​
PVアクセスランキング にほんブログ村
にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ
​ボタン押してね!​
にほんブログ村 本ブログへ
​​ボタン押してね!
​​







ゴジラブログ - にほんブログ村​​






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2024.08.31 10:18:15
コメント(0) | コメントを書く
[読書案内「川上弘美・小川洋子・佐伯一麦」] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X