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大江健三郎・柄谷行人「全対話」(講談社)
作家の大江健三郎がノーベル文学賞を受賞したのは1994年でした。この対談集には三つの対談が収められていますが、それぞれ、 「中野重治のエチカ」(1994・4月) と題されています。対談の日付から、ノーベル賞受賞前に一回、受賞後に二回行われたことがわかりますが、それから25年の歳月が流れています。 柄谷 大江さんが文芸誌にデビューされたのは1957年ですね。 次は、大江健三郎の、25年前の現在ですね。今、振り返れば、彼はこの後、「宙返り」に始まり「晩年様式集」にいたる作品を書きつつけていますが、この時点でたどり着いている「小説の終わり」に対する感慨を込めた発言には胸打たれるものがありました。
ぼくは、相変わらず、この二人の新しい作品を待ち続けていますが、つい先日、古井由吉の訃報を知り、思わず、丘の上に立って、日が沈んでいく地平線を遠くに眺めているノッポとチビの二人連れを思い浮かべました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.04.30 15:41:53
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