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カテゴリ:映画 ドイツ・ポーランド他の監督
アンジェイ・ズラウスキー「ポゼッション(1980)」元町映画館
先週、といって、まあ、2020年の3月ですけど、通りかかった元町映画館の前のチラシ・スタンドの写真を見て気にかかりました。この女性の写真です。これはいったいどういう感情を表現している顔なんだろう。なんか、ちょっと 「怖い」ですね。 ガラス戸の中を覗くと受付カウンターに顔見知りの女性が二人こっちを見て笑っています。 「邪魔するでえ、客ちやうけど。」 という訳で、一週間後、やって来た元町映画館です。今日は刑務所のドキュメンタリー「プリズン・サークル」と二本立て鑑賞会です。 さて、「ポゼッション」始まりました。 男は、いかにもドイツの人という感じで、お仕事は怪しげな取引の当事者のようですが、鞄一杯のお金を受け取って、お家に帰ってきました。 何だか妻の様子が変です。それは見ていてわかります。妙に甲高いんです。もちろん理由は、ぼくにも劇中の夫にもわかりません。が、二人の間に、何だか食い違いがあることはたしかです。 妻である女性が異様に美しいのですが、どこかで見たことがある気がします。(後で分かったことですがトリュフォーの「アデルの恋の物語」の女性でした。その映画は見たことがありますが、覚えてはいません。) そこから、まあ、大変でした。公開は1980年、ポーランドの監督アンジェイ・ブラウスキーという人の映画らしいのですが、作品を見るのは初めてです。 映画はイザベル・アジャーニという美しい女優さんの一人芝居みたようなものですが、実際、当時のカンヌ映画祭では主演女優賞だったそうです。ウキペディアのリンクを貼ってみましたからお確かめください。 この方が「怒り」から「拒絶」、「悦び」もあったかなあ?「陶酔」、「殺意」、もう何でもあれの超絶演技で圧倒しています。表情だけではありません「狂気の舞踏」とでもいうしかない、一人狂いのシーンもあります。あとで辞書を調べると「ポゼッション」というのは「憑りつかれる」というような意味らしくて、まさに「憑りつかれて」いらっしゃいました。 後半になって、彼女に「憑りついているもの」の正体に、何となく気付いてからは、笑えました。そこまでは、結構 「怖かった」というのが正直な感想です。 1970年代のことですが、映画のタイプによってB級アクションとかいう言い方がありましたが、そのいい方でいえば、これはB級官能・ホラーの傑作だと思いました。 ラスト近くで、アジャーニさんがタコ化したエイリアンのお化けのようなものと全裸で「格闘」(?)しながら「もうちょっと、もうちょっと」と喘ぐシーンがありますが、このシーンをまずよく撮ったものだと感心(?)しました。 こんなシーン、今時なら袋叩きだろうと思っていると、多分、女性の方の最近のレビューだと思いますが、このシーンを気に入ったとおっしゃっているのに出会って、つくづく「女はわからん」と思いました。でも、監督は「男」なんですよね。 もっとも、女優の表情とはうらはらに、この「もうちょっと」は官能的台詞ではなくて、どっちかというとSF的セリフだったようなんですがね。 いやはや、何とも言いようのない映画というものもあるもんだという結末でした。 監督 アンジェイ・ズラウスキー ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.17 22:08:08
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