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カテゴリ:読書案内「日本語・教育」
《2004年書物の旅》
小西甚一「古文研究法」(ちくま学芸文庫) 二十年近く昔のことで、この本がちくま学芸文庫で復刊されるずっと前、こんなことを高校生相手に書いていました。とてもさっこうんの高校生の手におえる参考書とは思えなかったのですが、ハッタリ気分で書いていたら復刊されて驚きました。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 古典の授業をしていて、自分が物を知らない事をつくづく感じています。勉強するべきときに勉強せんとこういうオトナになる、なんて説教をたれる気はありません。しかし、授業中に困っても、まめに調べる気力も最近は失われていて、これは、正直ヤバイのですが、高校生諸君に対しては、せめて参考文献ぐらいは紹介しようという次第です。 そう思いついたのは、なかなか殊勝な態度なのですが、残念ながら受験参考書の類は自分自身が30数年前、必要に30迫られて読んだ、「ある参考書」以来まじめに見たことがないからよく知らないのです。 皆さんが「そんないい加減なことでいいのか!」と怒るのももっともです。しかしね、時々本屋さんが「見本に」といって持ってくる最近の参考書の類はみんな、あの頃読んだ「ある本」の換骨奪胎に見えるのですよ、ぼくには。 「肝」になる文学思想は捨て、外観は似せているが、全体を支える「骨」はありません。やればとりあえず点は取れるようになりますが、古典に対する教養はせいぜい枝葉しか身につきません。クイズに強くなる豆本化しいて、パターンと頻出例を繰り返すだけで味も素っ気もありません。結局、面白いのは、面白くもないゴロ合わせだけという始末です。みんな「当てもん」に強くなるためのテクニックなのですね。 極論かもしれませんが、センター試験の古典で点を取るのは、実は簡単です。一年生で使った教科書がありますね。あれで、漢文はすらすら書き下せること。だから、読めればいいわけですね。古文はすらすら訳せること。それだけ八割は大丈夫です。あの薄い教科書一冊、本文だけでいいです、すべて暗唱できれば、センターなら満点は確実です。 ウソだとは思うが、一度だけシマクマを信じてやろうという人は、この夏休みがチャンスです。せっかくですから、課題の問題集で試してください。 古文、漢文それぞれ15題ありますね。一日、一題づつ、計二題、ノートに本文を写してください。訳や解説は、適当に読んで、線でも引きながらで結構です。これを二往復してください。 でもね、点数が上がって勘違いしてはいけないことがあります。模試の数値は古典文学読解の実力を保証しているわけではないということです。それは忘れないでください。放ったらかしてしまうと、すぐに下がります。 で、話を戻します。読む練習ができて、さあ、ここから必要になる本を参考書と呼ぶのです。ぼくが受験生の時に出会ったある本とは小西甚一という人の「古文研究法」という本ですが、本物の参考書でした。 小西さんのその参考書は「古文とは何か」という大胆な問を設定して受験生に説明しようとしていました。ぼくは読んでいて眠くてしようがなかった記憶があります。アホバカ高校生が「古文とは何か」なんて考えるはずがないわけで、考えたとしても「退屈である」という答えしかなかったはずですから、眠いのも当然でした。しかし、ずっと後になって、この参考書のすごさに納得するのです。 ボタン押してね! ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.01.06 23:37:48
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