ゴジラ老人シマクマ君の日々
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シマクマ君
シマクマ君のゴジラブログへようこそ。今日は図書館、明日は映画館。あれこれ、踏み迷よった挙句、時々、女子大生と会ったりする。大した罪は犯さない、困った徘徊老人。「週刊読書案内」・「先生になりたい学生さんや若い先生にこんな本どう?」・「映画館でお昼寝」・「アッ、こんなところにこんな…わが街」とまあ、日々の暮らしのあれこれ、いたって平和に報告しています。
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「100days100bookcovers no6」 ローレンス・ブロック「八百万の死にざま」(田口俊樹訳:ハヤカワ文庫) 村上春樹、レイモンド・カーヴァーと繋がってきて、はたと困りました。できればここから離れたいのだけれど、カーヴァーをそれほど読んでいない(しかも、昔読んだものも内容を覚えていない)ので、どこへ行けばいいのか、道筋がすぐに思いつきません。レイモンド繋がりでチャンドラーにしようかと思ったけれど、それじゃあ縁がありすぎて、村上春樹に戻ってしまう。 あれこれ考えるうち、アルコール依存症で苦しんだというカーヴァーの経歴を思い出して、アル中探偵マット・スカダーにたどり着きました。 ああ、よかった。
ローレンス・ブロック『八百万の死にざま』の主人公です。 この探偵小説は、もちろんミステリー要素がないわけではないけれど、重心は、アルコール依存症で半ば身を持ち崩しながら、首の皮一枚で踏みとどまり、事件に関わってゆくスカダーを描くことにあります。 「AA」というアルコール依存症患者の自助グループのことも、この小説で初めて知りました。そうなる原因となった過去は詳しく語られませんが、酒に対する態度とは逆に、探偵としてのルールはきわめてストイックで、そのせめぎ合いの中でスカダーの魅力が輝きます。筆致はクールですが、作者のスカダーに対する静かな共感が流れているのです。 もうひとつの魅力は、陰翳深く描かれるニューヨークの街です。タイトルの「八百万」というのは、当時のニューヨーク市の人口です。直訳すると「八百万通りの死に方」。 1980年代の荒廃したニューヨークの街が、他人の「死にざま」を眼前にし、虚無に足をとられながら何とか生きているスカダーと響き合います。 ラストは、ファンがこぞって
「この一言のためにこの小説は書かれた」
と絶賛するセリフで終わっています。これまで言えなかった、正直でシンプルなスカダーの一言に、みんなノックダウンされるのでしょう。私もそうでした。 では、T・KOBAYASIさん、お願いします。(2020・05・16 K・SODEOKA ) 追記2024・01・17 100days100bookcoversChallengeの投稿記事を 100days 100bookcovers Challenge備忘録 (1日目~10日目) (11日目~20日目) (21日目~30日目) (31日目~40日目) (41日目~50日目) (51日目~60日目)) (61日目~70日目) (71日目~80日目) という形でまとめ始めました。日付にリンク先を貼りましたのでクリックしていただくと備忘録が開きます。
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