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カテゴリ:映画 韓国の監督
チャン・リュル「慶州(キョンジュ) ヒョンとユニ」元町映画館
元町映画館でチケットを販売しているお嬢さんから薦められて見ました。題名にある「慶州」という地名にも惹かれました。 「ここでタバコを喫っちゃあダメよ」 このシーンが、結局、最後まで印象的だったのですが、映画が始まりました。 映画は北京から、友人の葬儀のために大邱(テグ)にやって来た、パク・ヘイル演じる若い大学教授チェ・ヒョンの長い長い24時間のお話でした。 葬儀があり、再会したもう一人の友人との食事のシーンがあり、そこで、無くなった男の不可解な死と、奇妙な夫婦関係を友人の口から聴きます。 しかし、チェ・ヒョンは、その話にさほど動じる様子も見せず、友人と死んだ男の三人にとって思い出の地である「慶州(キョンジュ」にある一軒の茶屋、そして、そこで見た「春画」を、もう一度見たいという言葉を残して、慶州へと出かけてゆきます。 見終えて帰宅して、慶州を地図で確認すると、大邱と慶州は目と鼻の先といった距離で、半島の南端にある港町として、ボクでも知っている釜山(プサン)の少し北の町です。寺と古墳が有名なようです。 慶州に着いたチェ・ヒョンはレンタ・サイクルを借り、目的の茶屋にやって来ます。その茶屋の女主人がシン・ミナという女優さんが演じているユニです。 こうして、題名出てくる二人の男女が出会います。ここから話は「時」と「空間」を「無化」するかのように、その上中国語、朝鮮語、日本語という三つの言語を横断して展開しますが、だからと言って、大したことが起こるわけではありません。 荒唐無稽で非常識な話の運びに、少々辟易としながらも、「春画」の暗示につられてユニとチェ・ヒョンの二人がどうなるのか、意識と記憶のせめぎ合いの中でエロスへと昇華してゆく展開を、それなりに期待しながら見ていました。 チラシに写っている「耳」をまさぐるシーンなんて、当然、そっちへとなだれ込むはずなのですが・・・・。 ユニが恋人を失った「心の空虚」を抱えながら、その面影を探す女性であり、初対面の男を誘うかのように寝室に消えたところがピークでした。 なんといえばいいのでしょう。チェ・ヒョンは、どうも本物の「空っぽ」であったようです。もっとも、彼が「空っぽ」であることの理由は、全くわかりませんでしたが(笑)。 美しい古墳群の緑。朝一番に聞こえてくる中国の恋歌の微妙なリズム。カラオケでがなられる韓国歌謡曲の歌詞とメロディ。啞然とするほどツマラナイ春画。親子心中したらしい快活な少女。訳の分からない売り込み口にする大学教授。ソウルからあっという間にやって来て、チェ・ヒョンとの過去を暴露し、あっという間に帰っていく女。あらゆるものが雑然とチェ・ヒョンの「空っぽ」を語ろうとしているのか、していないのか、ここまで「意味深」で「意味不明」な映画もそうそうないのでは、そう思った次第でした。 帰りの戸口で、「不可解!」と顔に書いてあるらしい老人にチケット係のお嬢さんが笑いながら言ってました。 いやー、シマクマさんならヨロコブかなって、詩的だったでしょ。 いや、まいった、まいった。笑うしかありませんね。で、最初のタバコの話には、一体何の意味があったんでしょうね。 で、詩的ってなんやねん!監督 チャン・リュル 製作 チェ・ジヨン ユ・ピョンオク 脚本 チャン・リュル 撮影 チョ・ヨンジク 美術 キム・チョヘ 音楽 カン・ミングク キャスト パク・ヘイル(旅の大学教授チェ・ヒョン) シン・ミナ(ユニ) 2014年・145分・韓国 原題「Gyeongju」 2020・06・23 元町映画館no47 ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.01 20:01:41
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