ビッキー・ジョーンズ「フリーバッグ」神戸アート・ヴィレッジ
一昨年くらいから公開されたプロブラムを欠かさず見ていた「ナショナルシアターライヴ」だったのですが、これまた新コロちゃん騒ぎでストップしていました。神戸では、アート・ヴィレッジが上映してくれていたのですが・・・・。
そのアート・ヴィレッジが再開して、6月のプログラムに入っていたのがこれです。
先日もやって来たのですが、今日は受付にある体温県の仕組みを見せてもらいました。ちょっと小型ですね。裏側に液晶の画面があって肖像がうつります。一緒に温度も測れるそうです。
さて、ナショナルシアターです。今日はフィービー・ウォーラー=ブリッジという女優さんの「一人芝居」、「フリーバッグ」です。イギリスではBBCで、テレビドラマ化していて、人気番組なのだそうです。テレビでも主演はフィービー・ウォーラー=ブリッジらしいですが、一人芝居は舞台の場合だけのようです。
始まりました。舞台の中央に椅子があって、女優さんが座って喋りはじめました。どこかの会社の入社面接のようです。
映画.com
こんな感じです。途中、何度か椅子から降りて、床に立つこともありますが、ほぼ、座ったままでしゃべり続けます。場面転換は「セリフ」と「間」で変わりますが、そのあたりの話術はちょっとしたもので、英語がわからないぼくにも理解できます。
ただ、一人芝居ということで、しゃべり続けられる英語に、ことばが理解できないぼくにはやはり「眠気」がやって来ました。性的なスラングが連発され、場面としてもかなり怪しげなシーンが演じられますが「眠気」は去りませんでした。もしも、自宅で横になって観ていたりすれば確実に寝てしまっていたと思います。
ちなみに「Fleabag(フリーバッグ)」の「Flea」は「蚤」のことで、「みすぼらしい人、ボロ宿、ノミのたかった動物」という意味なのだそうです。「フリーマーケットflea market」を「蚤の市」と訳しますが、あれも「蚤」なのですね。知りませんでした。
で、芝居で主人公が「フリーバッグ」なのは何故かという問題の答えは、ちょっと難しいですね。案外、彼女を取り巻く「世界」こそが「フリーバッグ」かもしれません。
所謂「ウェルメイド・プレイ」(well-made play)と総称されるタイプのお芝居で、オチもちゃんとあります。三谷幸喜という人のテレビ番組みたいな感じですね。(あんまり見たことはありませんが。)舞台に充満している嘘くささの中から、奇妙なリアリティを醸し出す女優さんの力量も大したものだと思いました。
大昔の話ですが、ボブ・フォッシーの撮った「レニー・ブルース」という映画を思い出しました。スタンダップ・コメディアンを描いた、あの映画の主人公は悲惨な最後を遂げるわけですが、このドラマの「悲惨」な主人公を演じているフィービー・ウォーラー=ブリッジは、とても「健全な人」だと思いました。演じている人の批評的ポジションは案外「上から目線」な印象でした。ぼくが「ウェルメイド・プレイ」だというのはそういう理由ですね。
というわけで、最後のセリフは、予想通り「Fuck!」でした。イギリスのお客さんは爆笑でしたよ。もちろんボクも笑いました。
演出 ビッキー・ジョーンズ
作 フィービー・ウォーラー=ブリッジ
キャスト
フィービー・ウォーラー=ブリッジ
2019年・88分・R15+・イギリス
原題「 Fleabag」
2020・06・26神戸アート・ヴィレッジ・センター
当日のポスターはこれです。
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