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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2020.08.12
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​​​​​​​ マイク・ニューウェル「ガーンジー島の読書会の秘密」パルシネマ​
​​ パルシネマの二本立てで、一本目が「ジョジョ・ラビット」で、もう一本がマイク・ニューウェル監督の​​「ガーンジー島の読書会」​でした。お目当ては「ジョジョ・ラビット」だったのですが、見終わった結果は、こっちの作品が優勢勝ちでした。​
​​ どちらもナチスがらみの映画だということでプログラムが組まれたのでしょうね。「ジョジョ・ラビット」も、悪くはなかったのですが、どちらかというと古典的な作りのこちらの映画に感心しました。
​​​​​ 原題がThe Guernsey Literary and Potato Peel Pie Societyで、直訳すれば「ポテトの皮むき読書会」となりそうです。わけが分からないですね。というわけかどうか、とにかく、その読書会に興味を持ったのが駆け出しのライター、リリー・ジェームズ演じるジュリエット・アシュトン嬢です。
 で、彼女が探偵役を受け持ち「ポテトの皮むき」の謎を解いてゆく中で、新たな謎が浮かび上がってくるというミステリー映画であり、新たな恋まで生まれる純愛映画でもあるのでした。​​​​​
​​​「エリア随筆」で知られるチャールズ・ラム「シェークスピア物語」アシュトン嬢ガーンジー島に呼び寄せる小道具になっているのですが、このあたりから、ぼくにはワクワクする展開でした。
​​ 話の筋や、物語の謎に対してというよりも、イギリスの労働者階級の人たちがどんな本をどんなふうに「読書会」するのかという興味ですね。​​​​​
​ 残念ながら映画全体の展開の中で、読書会は設定に過ぎない面もあるのですが、普通に働いている暮らしている人たちが、「ポテトの皮をむく」ように、日本なら岩波文庫に入っているような随筆や詩のことばを朗読したり、互いの感想のスピーチを聞くという、読書本来の楽しみを素朴にわかちあう様子はキチンと描かれています。
​​ ぼくはその、読書会のシーンや、好みの本を探すためにメンバーのドーシーから、ロンドンのアシュトンに手紙が届けられる経緯に、かの国の文化の分厚さを感じ、うらやましく思いました。
 映画の筋とのかかわりでいえば、この読書会のメンバーたちが、会の創設者エリザベスが残して去った、まだ幼い少女​キット​を共に守りながら暮らしている「自由」の信念は、彼らがともに読んでいるチャールズ・ラムウィリアム・イェイツの作品の中のことばと、どこかでつながっているとも感じたのでした。​​
​​​​​​​ 戦時中、ドイツ占領下での小さな隠れた楽しみだった読書会は、ドイツ軍が去ったあとも、「秘密」を守り続け、ひっそりと続けられています。
​ ナチス・ドイツに占領された唯一のイギリス領である小さな島で、ドイツの兵士との間の危険な恋の結果としてこの世に誕生し、だからこそ、母親を失った少女キットが蔑まれる村社会の描写は、戦勝に沸くイギリスの戦後社会の、ぼくが知らなかった、もう一つ姿でした。​
 その中で、けなげであどけない少女を演じるフローレンス・キーンのちょっとエキセントリックな演技と、あくまでの少女を守ろうとかたくなに秘密を守り続ける老婦人、ペネロープ・ウィルトン演じるアメリア・モーグリーの姿は心に残りました。
​​​
 映画の奇妙な題名は探偵アシュトン嬢のガーンジー島調査記録の報告書の題名だったのですが、彼女の恋の行方は映画でお楽しみください。
 映画をきっかけに、名前しか知らなかった​チャンネル諸島​を調べました。フランスのシェルブールという、映画で有名な村の沖合の島々で、フランス領と勘違いしそうなのですが、そういえばイングランドの王様はこの辺りからやって来たのだと思いだした次第でした。島の人はフランス語をしゃべるそうです。映画で見る限り、とても美しい島でしたよ。
 監督 マイク・ニューウェル
 製作 ポーラ・メイザー  マイケル・カプラン  グレアム・ブロードベント
    ピート・チャーニン
 原作 メアリー・アン・シェイファー  アニー・バロウズ
 脚本 ドン・ルース  ケビン・フッド  トーマス・ベズーチャ
 撮影 ザック・ニコルソン
 美術 ジェームズ・メリフィールド
 衣装 シャーロット・ウォルター
 編集 ポール・トシル
 音楽 アレクサドラ・ハーウッド
 キャスト
    リリー・ジェームズ(ジュリエット・アシュトン)
    マシュー・グード(編集者:シドニー・スターク)
    グレン・パウエル(恋人:マーク・レイノルズ)
    ミキール・ハースマン(読書会メンバー:ドーシー・アダムス)
    ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ(読書会メンバー:エリザベス・マッケンナ) 
    キャサリン・パーキンソン(読書会メンバー:アイソラ・プリビー)
    トム・コートネイ(読書会メンバー:エベン・ラムジー)
​    ペネロープ・ウィルトン(読書会メンバー:アメリア・モーグリー)
    キット・コナー (読書会メンバー・少年:イーライ・ラムジー​)
    フローレンス・キーン(少女:キット・マッケンナ) 
    2018年・124分・フランス・イギリス合作
    原題「The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society
    20200803パルシネマno28
追記2020・08・12
​​「ジョジョ・ラビット」​の感想はこちらからどうぞ。​​​​​​​

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最終更新日  2024.07.10 13:14:32
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