|
トム・ムーア ロス・スチュアート「ウルフウォーカー」シネリーブル神戸
久しぶりのアベック映画鑑賞会です。チッチキ夫人はお仕事帰り、シマクマ君は一日がかりで、翌日の宿題をこなして、夕方5時からの三宮、シネリーブル神戸でした。 お目当ては「ウルフウォーカー」、アイルランドの「カートゥーン・サルーンCartoon Saloon」というアニメ・スタジオの作品で、アカデミー賞に連続ノミネートされていて、ポスト・ジブリの呼び声もある「ケルト3部作」の第3作だそうです。 まあ、こう書くと分かっているかのようですが、監督も、スタジオ名も、もちろん「ケルト3部作」の残りの作品も知りません。ポスターを見て、 「オッ、これは!」 と思って狙いをつけていたのですが、明日が最終日と気付いて、慌ててやって来たにすぎません。 で、見終わって、どうだったか。もちろん納得でした。 アイルランドのキルケニーという町と、その町を取り巻く牧草地、そして、その向こうに広がる森を舞台にしています。時代は中世なのでしょうか、ストーリーを大雑把にいえば、町の少女と森の少女が出会い、仲良しになるお話です。 映画.com まず気に入ったのが「絵」でした。いかがでしょう。この雰囲気、まんま絵本で読みたい感じです。 本当は町を取り巻いている城壁を遠くから見はらしている絵が印象的だったのですが、町の中を描いたこういう絵もとてもいいと思いました。向うに見える、門の外が、「野生」が、まあ、「オオカミ」がといってもいいのでしょうが、跋扈する、 外の世界 です。 門の内側の世界で暮らす少女ロビンが洗濯や料理、掃除や水汲みを仕事として働いていて、生まれてからずっとそんなふうに働いてきた女性から叱られ、命じられている世界の描き方が、なんともいえずいいとおもいました。少女はまだ10歳くらいなのですがね。 そして、町の少女ロビンは、この直線で描かれた町の世界から、外の世界の冒険を夢見ています。 町が直線で描かれているのに対して、森は、下のチラシにもありますが、淡く、美しい色と曲線で描かれています。奥へ進んでいくと、とても力づよい渦のように描かれていきます。 森の少女メーヴは、激しく渦を巻き続ける描線の象徴のように自在に飛び跳ね、考える以前に、ひらめく感覚に導かれ、美しい遠吠えでオオカミたちとこころを通わせる、個性的な 「野生」の少女 として描かれています。 次に惹きつけられたのは、主人公の二人が、二人とも少女だったことです。ついでにいえば、もう一つ共通するのは、「母」がいない少女ということです。 町の少女ロビンはイギリスからやって来た狩人のおてんば娘ですが母がいません。本当にこころを伝えられるのはハヤブサのマーリンだけです。 森の少女の母は、森の洞窟の奥の神殿のようなところで、眠ったまま目覚めることができません。彼女は狼たちの女王でもあり、いや、それ以上に野生の世界の王というべきかもしれませんが、その母の魂を、森の少女メーヴは、狼たちと探し続けています。 そんな、二人の少女が町と森の出会う場所で出合い、町の少女もまた、アイルランドの伝説の中に、今も生きている「ウルフウォーカー」へと変身するという、夢の様なプロットが、まずを描かれます。 やがて、母のいない町の少女が、「囚われの狼」となっていた友達の「母」を城の中に見つけ出し、「ウルフウォーカー」である自らに宿る 「野生」 に突き動かされるように護国卿との戦いに挑み、最後は森の少女と力を合わせて母を救うというのがストーリーなのですが、共に戦ったのが少女二人であったという所に、いたく、納得しました。 ちょっと説明しがたいのですが、少女二人であって、少年と少女ではないというこの映画の設定は、とても興味深いと感じ入ったのでした。 監督 トム・ムーア ロス・スチュアート 脚本 ウィル・コリンズ 音楽 ブリュノ・クーレ KiLa オーロラ 声優 オナー・ニーフシー(ロビン) エバ・ウィッテカー(メーヴ) ショーン・ビーン(ビル) マリア・ドナル・ケネディ(モル) サイモン・マクバーニー(護国卿) 2020年・103分・アイルランド・ルクセンブルク合作 原題「Wolfwalkers」 2020・11・11シネリーブルno73 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.02.15 10:49:04
コメント(0) | コメントを書く
[映画 イギリス・アイルランド・アイスランドの監督] カテゴリの最新記事
|