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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2020.12.05
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​​夏緑:原作・ちくやまきよし:作画「しっぽの声1~7」(協力:杉本彩 小学館)


​​ 我が家の愉快な仲間、ヤサイクンが毎月届けてくれる、11月の「マンガ便」に入っていました。
 夏緑原作、ちくやまきよし作画のマンガ「しっぽの声(1巻~7巻)」です。公益財団法人動物環境・福祉協会Eva理事長という肩書の杉本彩という人の名が、協力者として表紙にあります。ペット飼育や虐待の現実がかなり丁寧に描かれていました。


​​
 最近のヤサイクンのマンガ便には、「コウノドリ」とか「リエゾン」といった、お医者さんが主人公ではあるのですが、「子どもが生まれる」とか、「子どもたちが生きている」とかいう「現場」をまじめに描こうとしている作品が続いていると思うのですが、今度は、「動物の命」がテーマのマンガでした。


 マンガを描く人もいろいろ勉強しているのですね。上の二つの作品でも感じましたが、ぼくたちの目の前にある、今の社会の姿を、「ここから見れば」という感じで、視点を少し変えることで、新しい「リアル」を発見していく描き方をしようとしているマンガ作家の、まじめな努力を感じる作品です。


​​ 「しっぽの声」という題名の通り、ペット呼ばれて人間とともに暮らしているネコや犬たちの眼から見れば、この社会がどういう姿をしているのか、ちょっと「しっぽ」のある彼らの声を聞いてみませんかというマンガでした。​​


​​ アニマルシェルターの経営者で、所長さんである天原士狼くんと、アメリカ帰りの獣医師獅子神太一君の二人が、まあ、主人公ということになります。​​
 話題はペット繁殖業、生体展示販売、飼育放棄、野良犬、ノラ猫の捕獲や殺処分と、ペットと縁のない暮らしをしているシマクマ君には、初めて知る話題満載で、面白がるというよりも、なんか、ベンキョウになるなあというマンガでした。
​ たとえば、第1巻には、「飼育放棄」されたワンちゃんが、空腹のあまり、自ら噛み千切って失った前足の義足の話や、密輸された蝙蝠を齧って、日本ではありえない狂犬病を発症してしまったの犬の「殺処分」の話とかが出てきますが、それぞれのワンちゃんの不幸が、「人間」の身勝手な欲望の結果としてあるのことを「しっぽの声」が問いかけていると思いました。​


 いつもマンガを届けてくれるヤサイクンは、二匹のネコと、飼育放棄された状態だったらしい「カルちゃん」というワンコを引き取って暮らしています。動物好きのヤサイクン一家なのですが、可哀そうなことに、子どもたちや猫たちとも仲良しの「カルちゃん」は、どうしたことか、ヤサイクンにだけ冷たいのだそうです。
​ 現実のワンちゃんやネコ君たちというのは、なかなか、好き嫌いがはっきりしていて、「しっぽ」のない人間の声が、うまく届くとは限らないようです。


​​ 7巻まで読み終えて思いました。それにしても、街のあちらこちらで、ワンちゃんやネコ君たちが「しっぽ」をふったり、プイッと向こうをむいたり、ゴロゴロ寝そべったりしながら「ちょっと、こっちからも見てね。」と呼びかけているようです。「しっぽ」をなくした生きものたちは、もう少し、「しっぽの声」に耳を傾ける暮らしをした方が楽しそうですね。
 描かれている内容は、動物好きには、かなりつらいこと、腹立たしいことが多いのですが、「しっぽ」のある「生きものたち」の「命」の扱われ方は、「しっぽ」のない「生きもの」にも、他人ごとでない「リアル」を感じさせる作品だと思いました。


​​




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最終更新日  2020.12.11 17:13:42
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