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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2020.12.30
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​​​​​​​​​​こうの史代「この世界の片隅に(上・中・下)」(双葉社)


 2020年も終わろうとしていますが、今思えば、コロナ騒ぎが最初の頂点を迎え、政治家のインチキが、あっちでもこっちでも露呈しはじめた2020年の4月、ゆかいな仲間ヤサイクンマンガ便に入っていたマンガでした。
 ​こうの史代「この世界の片隅に」(上・中・下)(双葉社)です。


 すぐに読みましたが、なかなか、思うように感想が書けないまま放っていました。


 この作品は、広島で育ち、隣町の呉の北条周作のもとに嫁いだ​浦野すず​という主人公の、戦時下の日々の暮らしを描いた物語でした。ぼくが知らなかっただけで、アニメ映画として評判になり、単行本のマンガもよく読まれている作品であるらしいですね。誰でも知っている物語のようなので、ここでは筋書きの紹介はしませんね。​
 ぼくは、アニメも見ていませんし、評判になっていたらしいこのマンガも読んでいませんでした。ヤサイ君のマンガ便がなければ読むことはなかったでしょう。
​​ ところが、最近​「ペリリュー」​という武田一義のマンガを読みながら、
 「そういえば、あのマンガの主人公も漫画を描きたかったんだよな」
 と思い出したのが、このマンガの主人公すずのことでした。​​

 彼女は戦地に出征した兵士ではありませんが、戦地で命懸けの男の人に代わり、一人でも多くの男の子を生むのが「義務」だと考えるような、純朴な女性です。にもかかわらず、​​子供が出来ずに悩むすずが、遊郭の女性白木リンと語り合うこんなシーンがあります。​​
「ほいでも周作さんもみんなも楽しみしとってのに子供が出来んとわかったらがっかりしてじゃ」
「周作さん?」
「あ 夫です」
「あんたも楽しみなんかね?」
「はあ まあ・・・」
「うちの母ちゃんはお産のたびに歯が減ったよ しまいにゃお産で死んだよ それでも楽しみなもんかね?」
「そりゃあまあ・・・怖いこた怖いけど ほいでも世の男の人はみな戦地で命懸けじゃけえこっちもギムは果たさんと」
「ギム?」
「出来のええアトトリを残さんと それがヨメのギムじゃろう」
「男が生まれるとは限らんが」
「男が生まれるまで産むんじゃろう」
「出来がええとも限らんが」
「予備に何人か産むんじゃろう」​​
​ ​​すずは、子どもができないことで、嫁ぎ先に居場所がないことを不安に思い、子どもを産めない女性が実家に帰されるということを、素直に信じる女性でもありました。
 そんなすず「売られてきた女性」白木リンはこんなふうに慰めます。​​
​​
​​​ 「ああ、でも子供が居ったら居ったで支えんなるよね」
「ほっ ほう! ほう!! 可愛いし‼」

「困りゃ売れるしね!女の方が高いけえ、アトトリが少のうても大丈夫じゃ 世の中、巧うできとるわ」
「なんか悩むんがあほらしいうなってきた・・・・」
「誰でも何か足らんぐらいで、この世界に居場所はそうそう無うなりゃあせんよ すずさん」
「有難うリンさん」​​
​​​​​ ここに、このマンガの読みどころの一つがあると思いました。白木リンがどんな人間にも「この世界の片隅に」、「生きる場所」というのはなんとかあるものだと教えるなにげないシーンですが、落ち着いて読み返すと哀切極まりないシーンなのです。
​ 二人が、仲良しになって、悲しい会話をしたこの時にすずには、戦火の下とはいえ、まだ、大好きな絵を描く右手がありました。そして、苦界で生きる白木リンにも、永らえる「いのち」があったのでした。​​​​​​

​​​​ やがて、ペリリュー島田丸1等兵たちが苦労して守っていたはずの「本土攻撃」の防衛線は、肩透かしのように突破され、東洋一の軍港の町「呉」もアメリカ軍の空襲にさらされていきます。そんな戦況の中で、すずは街角の不発弾に遭遇し、手を引いて歩いていた6歳の姪、晴美ちゃんの命と、つないでいた自分の​右手​を一緒に失います。​​​​
​​​​​​ 「この世界の片隅に」居場所を失ったように苦しむすず「居場所はそうそう無うなりゃあせんよ」と励ましてくれた、白木リンを探しますが、彼女は居場所だった遊郭ごと、「この世界の片隅」から消えていました。
​​​​​​

​ 敗戦の日のシーンです。​
​​ ​ああ、暴力で従えとったいうことか
 じゃけえ暴力に屈するいう事かね
 それがこの国の正体かね
 うちも知らんまま死にたかったなあ・・・

​​​​​​​ この世界に取り残されたことを、もだえ苦しむすずの頭を、天から降りてきたのでしょうか、やさしく撫でる「右手」が描かれます。
 戦死した兄、要一
石ころ入りの​​骨壺。爆弾に吹き飛ばされた姪の晴美。やっと、話ができたのに遊郭ごと消えた白木リン1945年8月6日から行方不明の母。原爆病で起き上がれない妹のすみ
 すずの失われた「世界」が、次々と想起される中で、幻の「右手」が彼女の居場所がまだあることを教えるかのようです。​​​​
​​​​​

​​​​​​​​ 焼け野原のの街で拾った戦災孤児を背負って歩いている周作すずの後ろ姿が描かれ、​​マンガは、再び「この世界の片隅」のような北条家の居間に戻っていきます。
 戦後社会への着地の仕方が、とてもソフトなところに好感を持ちましたが、何よりも「マンガを描きたかった」浦野すずという設定と、あくまでも小さな日常にこだわった筋運びに、戦後70年たって書かれている戦争マンガの新しさを感じました。

 蛇足のようになりますが、​​​​​宗教学者の島薗進という方が「ともに悲嘆を生きる」(朝日選書)という本の前書きで、​​執筆の数年前に流行った3本の映画、「シン・ゴジラ」「君の名は」、そして​「この世界の片隅に」を見たことを話題にして​​​​​​こんなことをおっしゃっていました。​​​​
​​「シン・ゴジラ」「君の名は」は見ごたえはたっぷりあるが、観客も涙を流すような感動はなかった。
 ところが、「この世界の片隅に」は見応えがたっぷりあるとともに深く心を揺さぶられた。こうの史代の同名のコミック作品に基づく、片渕須直監督の作品だ。そこですぐ原作を買って読んだ。2006年から09年にかけて発表された作品だが、予想にたがわずため息をつきながら読みふけった。
 そして、それは悲嘆が身近に感じられる21世紀の現代という時代と深い関わりがあるように感じた。​

​ ​ぼくが、気になるのは、このマンガが、なぜ、今、みんなに受け入れられたのかということですが、島薗さんは、始まったばかりの「21世紀という社会」には、「悲嘆」の方向に動きやすいの空気が漂っていて、そのことと、このマンガの描く「世界」が繋がっていると論じておられますが、そうなんでしょうか。
 そういえば、お葬式の作法とか、そっち方面の話が映画になったりしたのは今世紀に入ってからですね。島薗さんの御意見は、そのうち「案内」するかもしれませんが、とりあえず、そちらの本のほうで直接ご確認いただきたいと思います。
​​​​​​追記2021・08・06

 コロナの感染者数が日々新記録を刻んでいますが、大運動会の報道に夢中にみえるNHKという「公共放送(?)」は大運動会の報道に夢中で、この世界で本当に起こっていることからはかけ離れた「公共(?)」ぶりです。
 そのうえ、例年、8月6日に放送していた「原爆」特集番組を、こっそり、取り止めにしたりしているようです。
 なんだか。恐ろしい時代の始まりを演出して、いい気になっている夜郎自大なものを感じます。本当に気味の悪いことですね。

 
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最終更新日  2021.08.06 09:04:37
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