フランシス・フォード・コッポラ「ゴッドファーザーPART II」こたつシネマ
夕食を食べて、ボンヤリ、テレビ画面を見ていると映画が始まりました。いつもならテレビの人チッチキ夫人はPC相手になんかしていて、しようがないので見続けていると、どっかからアメリカにやって来た少年が入国審査を受けて、言葉ができないからでしょうか、黙っていると「ヴィトー・コルレオーネ」と名付けられて、その上、天然痘を宣告され病室に連れていかれました。
第一部でマーロン・ブランドが演じたゴッド・ファーザー、ヴィトー・コルレオーネに、彼の出身の村の名前が付けられた瞬間ですね。
フランシス・コッポラの名画、「ゴッド・ファーザーⅡ」が始まっていました。NHKの衛星放送です。ここからテレビにくぎ付けでした。久しぶりに見たのですが驚いたことが二つありました。
ひとつは、若き日の父ヴィトー・コルレオーネを演じているのが、ロバート・デニーロだということに気付かなかったことです。
ニュー・ヨークのヤクザ、ファヌッチを暗殺する、きっと有名なのでしょうね、アパートの暗い廊下の踊り場のランプが点滅する場面で、浮かび上がってきたコルレオーネの顔を見て、「あっ、デニーロだ。」と叫びそうでした。
まず、ぼくは、どちらかとういうと、遅れてきたマーロン・ブランドファンで、「波止場」とか「欲望という名の電車」は見たことがないまま、「ゴッド・ファーザー」で見て、それから、間に、たしか「ラスト・タンゴ・イン・パリ」、「ミズーリ・ブレイク」、「スーパーマン」を挟んで、「地獄の黙示録」のカーツ大佐までのマーロン・ブランドに夢中で、どの映画も封切で見た記憶があります。
今でも好きな俳優ですが、当時、どこが、そんなに好きだったのかよく覚えていません。
というわけで、今回、この映画を見ていて、声がマーロン・ブランドによく似ているのですが、この役者はいったい誰なんだと、首をかしげていたわけです。
で、彼が暗がりから浮かび上がった顔を見て、ギョッとしたわけです。この映画では最後のほうで、ヴィト―・コルレオーネがシチリア島のマフィアの親分を殺すシーンがありますが、そこで、確かにロバート・デニーロだと、もう一度気付き直して唸りました。
ぼくは、この映画も封切りで見ましたが、ロバート・デニーロは「タクシー・ドライバー」で初めて見た役者だと、今日まで思い込んでいたわけです。
蛇足ですが、「タクシー・ドライバー」という作品は、「ゴッド・ファーザーⅡ」の翌年ぐらいの封切で、見たのは後だったはずです。これは、まあ、記憶違いとかではなくて、単なる「無知」を確認したということですね。
二つ目は、記憶違いの話です。
ぼくは、アル・パチーノという、この映画の主演俳優も、ずっと好きだったのですが、この人を最初に見たのは「スケアクロウ」でジーン・ハックマンと歩いていた姿か、「狼たちの午後」でジョン・カザールと銀行強盗をしていた姿だったと思い込んでいたのですが、ちがいました。「ゴッド・ファーザー」が、最初だったのですね。
「ゴッド・ファーザー」、「スケアクロウ」、「ゴッドファーザーⅡ」、「狼たちの午後」の順に封切られていたのでした。
同じような、思い違いは映画の中にもありました。
この映画のアル・パチーノはこの写真で有名だと思うのですが、ぼくは、この写真のシーンがラストシーンだと、マイケル・コルレオーネが、ドン・コルレオーネになった、このシーンで映画は終わっていたと思い込んでいましたが、ちがいましたね。
この後、ジョン・カザールが演じる兄のフレッドの死を描く湖のシーンがあって、それは、このシリーズではとても大切な逸話なのですが、そのあとのアル・パチーノの表情が映るんですね。忘れていました。
もっとも、ぼくの記憶の中にはアル・パチーノと共演するジョン・カザールという俳優さんは、損な役まわりばかりしている印象があります。「狼たちの午後」でも、あっけなく撃ち殺されるのはジョン・カザールのほうだったと思います。でも、ジョン・カザールという早死にした俳優さんは、そんなふうにいうのは失礼な名優で、記憶に残る人なのですが、なぜかこの映画では、その死のシーンを忘れていました。
人さまから見れば、あほらしい思い出を書きましたが、今回テレビで見ていて、なぜ、こんなに面白いのか、ホントに面白かったですね。
40年以上前に封切で見て、その後も何度かビデオとかで見ていると思うのですが、今回が一番面白かったと感じました。
アル・パチーノやロバート・デニーロはもちろんですが、ダイアン・キートンやジョン・カザールをはじめ、わき役たちの、その場その場の表情が何とも言えませんね。瞬間、瞬間が記憶に残るような印象でした。
「ゴッド・ファーザー」は見損ねましたが、こうなったら「ゴッド・ファザー Ⅲ」も、続けて見ないわけにはいきませんね。
監督 フランシス・フォード・コッポラ
製作 フランシス・フォード・コッポラ
原作 マリオ・プーゾ
脚本 フランシス・フォード・コッポラ マリオ・プーゾ
撮影 ゴードン・ウィリス
美術 ディーン・タボウラリス
衣装 セオドア・バン・ランクル
編集 ピーター・ツィンナー バリー・マルキン リチャード・マークス
音楽 ニーノ・ロータ カーマイン・コッポラ
キャスト
アル・パチーノ(マイケル)
ロバート・デュバル(義兄トム・ヘイゲン)
ダイアン・キートン(妻ケイ)
ロバート・デ・ニーロ(父ヴィトー・アンドリーニ・コルレオーネ)
タリア・シャイア(妹コニー)
ジョン・カザール(兄フレッド)
1974年・202分・アメリカ
原題:The Godfather: Part II
2020・12・29こたつシネマno6