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ジェームズ・マーシュ「キング・オブ・シーヴズ」シネリーブル神戸
徘徊老人シマクマ君が一番お世話になっている映画館が、昔の朝日会館、今はシネ・リーブル神戸という名前の映画館ですが、2021年の初詣はジェームズ・マーシュ監督の「キング・オブ・シーヴズ」という映画でした。 「Thieves」というのは「thief」の複数形でしょうかね、まあ、「泥棒」でいいんでしょうね。「泥棒の王様」というわけでしょうか、題に惹かれてやってきました。正月早々縁起がいいですね。 チラシをご覧ください、真ん中の、向かって左にいるのが、昨年の秋話題になったクリストファー・ノーランの映画でぼくが名前を覚えた顔で、マイケル・ケインです。なんと87歳です。その右奥がトム・コートネイ。ハリー・ポッターの寮監だった人で、83歳。60年前に「長距離ランナーの孤独」の青年でした。 その右の、いかつい顔で立っているのがジム・ブロードベント。案外若くて71歳。その左にいるのがレイ・ウィンストンで63歳。写真の左端がマイケル・ガンボン、80歳。ハリーポッターの校長先生らしいですが、ぼくは見ていません。その隣がポール・ホワイトハウス62歳。ひとりだけ若い人が後ろにいますね。チャーリー・コックス36歳で、まあ、今のご時世ですからコンピューターがわかる人の役ですね。 というわけで、ここに並んでいる、老人6人と若いのが1人、イギリスではだれでも知っている(知りませんが)、ロンドン随一の宝飾店街「ハットンガーデン」の宝石店だか、銀行だかの貸金庫破りをやるというお話でした。 お若い方がご覧になると、ちょっと食い足りないかもしれませんね。何百万ポンドもの宝石や現金を保管しているにしては、ガードは甘いし、手動のコンクリート削岩機(工事現場で使いそうなやつ)で地下の金庫のコンクリート壁に大穴をあけるという方法も、「なんとまあ!」という感じなのですが、実話なのだそうで大目に見るとしても、まあ、大味ですね。 この映画の面白さは、そういう金庫破りのハウツーではないのですね。主演のマイケル・ケインが、実年齢87歳なのですが、役柄の上でも、もう、いいお年で、画面で歩くのに難渋しているのは役の上でのことなのどうかよくわからないわけです。 他の役の方たちも、頻尿だとか、何時間かおきにインシュリンかなにかの注射をしないと立っていられないとか、耳が遠くて、実際は、ほとんど何も聞こえていないとか、それぞれ、堂々たる後期高齢者ぶりで、にもかかわらず「なんかやりたい」症候群の方たちなわけです。 そういう人たちが、力を合わせて、見事、金庫破りをやってのけてしまう。そこが面白いのかというと、まあ、そこもそこそこ面白いのですが、そうではありません。 老人たちは、自分を棄てられないのですね。「そうはいってもボスは俺だろう」とか、「俺にはまだやれる」とか、気に入らないことを誰かが言うと、そこが金庫破りの現場であってもこらえられないとか、強欲はいくつになっても変わらないとか、見ていて、ホント、他人ごとではないのです。 それを名うての俳優たちが、余裕綽綽で演じています。とりあえず、そういうシーンに出くわすごとに腹を抱えて笑いたいのですが、妙に身につまされて哀しくもあるわけで、そのあたりの味わいは、若い方には、ただ「アホラシイ」だけでしょうね。 映画com とどのつまりは、この写真のシーンでマイケル・ケインがレイ・ウィンストンに向かっていう「裁判での心得はへりくだらずに上から見下すことだ」という意味の(正確には忘れてしまいましたが)の名セリフがあります。ぼくは老人の真髄を聞いた気がしましたね。我々老人は反省したり、弱音を吐いたら終わりなんです。(笑) なかなか、元気の出るシネリーブル初詣でした。イギリスの役者は、ホント、渋いですね。結構楽しめましたよ。 監督 ジェームズ・マーシュ 脚本 ジョー・ペンホール 撮影 ダニー・コーエン 美術 クリス・オッディ 衣装 コンソラータ・ボイル 編集 ジンクス・ゴッドフリー ニック・ムーア 音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ 音楽監修 サラ・ブリッジ キャスト マイケル・ケイン(ブライアン・リーダー) ジム・ブロードベント(テリー・パーキンス) トム・コートネイ(ジョン・ケニー・コリンズ) チャーリー・コックス(バジル) ポール・ホワイトハウス(カール・ウッド) マイケル・ガンボン(ビリー・ザ・フィッシュ・リンカーン) レイ・ウィンストン(ダニー・ジョーン) 2018年・108分・G・イギリス 原題「King of Thieves」 2021・01・18・シネリーブルno77 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.14 23:44:00
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