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アーマンド・イアヌッチ「どん底作家の人生に幸あれ!」シネリーブル神戸
この映画は、 あの、ディケンズなんですよ、ディケンズ! ユーライア・ヒープなんてロックバンドの名前だと思い込んでいて、「デイヴィッド・コパーフィールド」読んで、やめられなくなって、 ああ、こいつじゃないか!ってひっくり返ったのが40年前なのですが、そのユーライア・ヒープなんていうワルが、いけシャーシャーと登場する、ディケンズこと、デイヴィッド・コパーフィールドの苦労話が映画になっているんですよ。まあ、これは見ないと仕方がないですよね。そんな気分でやって来ました。いつものシネ・リーブルです。 で、映画が始まってみると、やっぱりというか、その作り方にびっくり仰天でした。 インド系とか、アフリカ系とか、ヨーロッパ系とか、ああ、そういえばアジア系もいましたよ、でも、そんなのみんなごちゃまぜで「デイヴィッド・コパーフィールド」の「演劇」世界が広がっていて、いやはや、イギリスですね。 日本の時代劇をこの感覚で映画にすることなんて、逆立ちしたってできないに違いないのですが、お芝居の国の常識は、とっくの昔に 「肌の色」に寄りかかって「人間」の「リアル」を描く なんてこととはおサラバしていて、「役者・俳優」がいるだけなんですよね。で、その「役者」が笑わせたり、泣かせたりしてくれるわけです。 ナショナル・シアター・ライブで「アマデウス」というお芝居の敵役のサリエリをルシアン・ムサマティという黒人俳優が演じていて、まあ、この人はとんでもなく実力のある俳優なのですが、その彼が 「サリエリを演じる私の肌の色を気にするのは、あなたの偏見だ。」と喝破するのを見たことがありますが、おんなじことがこの映画にもあって、そういう発想で作られているところがこの映画の、まず一番の面白さだと思いました。 俳優さんたちの演技は、とても演劇的で、映画的リアルというのでしょうか、いかにもそれらしいリアルではなくて、「劇的」なリアルなんですね。構成も芝居仕立てですが、役者が、その「役」を演じている、誇張された存在感に、 「劇的な面白さ」を賭けている という様子なのです。 そういう意味で、この映画は渋いのに、妙にバカバカしいコメディだと思いましたが、ディケンズを知らない人には、話しが極端すぎてついていけないかもしれませんね。イギリスでは、きっと常識なんでしょうね、このハチャメチャ・ドタバタぶりは。 いや、それにしても、やっぱりイギリスの俳優さんというのは、それぞれすごいですね。シッチャカメッチャカなんですが、飽きずに最後まで引っ張ってくれますからね。 「ユーライア・ヒープ、ザマーミロ!」って思っちゃいましたよ(笑)。 監督 アーマンド・イアヌッチ 製作 ケビン・ローダー アーマンド・イアヌッチ 原作 チャールズ・ディケンズ 脚本 アーマンド・イアヌッチ サイモン・ブラックウェル 撮影 ザック・ニコルソン 美術 クリスティーナ・カサリ 衣装 スージー・ハーマン ロバート・ウォーリー 編集 ミック・オーズリー ピーター・ランバート 音楽 クリストファー・ウィリス キャスト デブ・パテル(デイヴィッド・コパフィールド) アナイリン・バーナード(スティアフォース) ピーター・キャパルディ(ミスター・ミコーバー) モーフィッド・クラーク(クララ・コパフィールド/トーラ・スペンロー) デイジー・メイ・クーパー(ベゴティ) ロザリンド・エリーザー(アグネス) ヒュー・ローリー(ミスター・ディック) ティルダ・スウィントン(ベッツイ・トロットウッド) ベン・ウィショー(ユライア・ヒープ) ポール・ホワイトハウス ベネディクト・ウォン(ミスター・ウィックフィールド) 2019年・120分・G・イギリス・アメリカ合作 原題「The Personal History of David Copperfield」 2021・01・25・シネリーブルno79 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.24 21:48:47
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