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鬼海弘雄「靴底の減りかた」(筑摩書房)
友人から教えられた鬼海弘雄という人のエッセイ集「靴底の減りかた」(筑摩書房)を図書館の棚で見つけました。 鬼海弘雄という人は写真家なのですが、写真の題のつけ方とか、それぞれの写真に二言三言付け加えられた、キャプションというのでしょうか、も、「やるな」とは思っていたのですが、文章も達人でした。 漬物石を運んだ日 開巻一番、すごい文章が掲載されていて、あ然としました。中途半端な引用で申し訳ないのですが、まあ、これで、雰囲気は伝わるかなと。興味を持たれた方は、図書館なりで、実物の書籍のほうに進んでいただきたいと思います。かなり、納得されると思いますよ。 ぼく自身、鬼海弘雄という写真家について、いつだったか興味を持ったことがあるらしいのですが判然としません。書棚に「普通のひと」(ちくま文庫)という文庫版の写真集がありましたからまったく知らなかったわけではなさそうです。 もっとも「きかい」ではなくて「おにうみ」だと思い込んでいた程度の興味なので、いいたがりのぼくでも「知ってる」というわけにはいかったのですが、このエッセイ集を読んで、「ちょっと知ってる」に進化したわけです。 友人が紹介してくれた「ペルソナ」(草思社)という写真集には目を瞠りました。このエッセイ集にも写真は載っています。建築というか、「建物の風景」写真が中心ですが、「ペルソナ」や、「普通のひと」に載っている人物の迫力が、人間のポートレイトだからではなく、写真そのものの力によるものだということを感じさせる写真です。 鬼海弘雄さんは2020年の秋に他界されていますが、本書は2016年に刊行されていて、載せられている文章はweb草思『ゆらりゆらゆら日記』、月刊「うえの」2012年~2015年、アサヒカメラ.Net「靴底の減りかた:」2010年~2013年20回連載の記事と、単発で書かれたエッセイ数編でした。 「バナナ男やカラからまわる風車」、「明るい暗室」、「女装するマッチョマンと偽看護婦」、「スティーヴ・マックイーンの佇む路地裏」、題名だけ挙げて行っても、ちょっとしたものだと思いませんか。 ちなみに表紙の写真は「囲いのあるパラダイス」、裏表紙は「野良ネコの散歩」と題されていました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.01.06 21:03:21
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