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カテゴリ:映画 アメリカの監督
D・W・ヤング「ブックセラーズ」シネ・リーブル神戸 毎週、月曜日は「シネ・リーブル」系の映画館の料金が、60歳以上の老人にお得になっています。まあ、ただでさえ、大人料金に対して老人料金はお得なのですが、この日は1000円ですから、どうせ、今週中に見たい映画が、もう1本、2本あるなら複数見て帰ろうという気分になります。自宅から三宮の交通費を考えると当然ですね。
で、5月24日の月曜日は8時55分開始の「ブックセラーズ」に駆け付けました。自宅からは高速バスで三宮直行です。三宮の駅前で朝の通勤の風景を見るのは久しぶりでしたが、映画館も思いのほか混んでいました。 映画はニューヨークの古本屋さんたちのインタビューで構成されたドキュメンタリーでした。 インターネットがあらゆる情報を管理し、紙で製本される本はそろそろ「絶滅危惧種」として保護されなければならないだろうというような「うわさ」がどこからともなく聞こえてきて、「キンドル」だかいうサービスで購入したり読んだりする方が、「ゴミも増えないし、いつでも読めていいよ。」という時代になっているようなのですが、紙の本、モノとしての本に執着する「本好き」という「人種」は、まだ、まだ、生息しているようです。 かくいうぼくも、教員生活の最後の数年間、数万冊の古い蔵書に、毎日、毎日、バーコード・ラベルを貼って、棚に並べ直すのが「うれしい」という、まあ、いわゆる「本好き」なわけですが、そういう「人種」に属すると自負なさる方には、この映画は退屈しなくていいのではないでしょうか。 何しろ、やたら本棚が出てきて、なんとか背表紙を読み取りたいという、意味のあるような、無いような誘惑に揺さぶられるだけでなく、「不思議に国のアリス」のルイス・キャロル自筆本とか、「グーテンベルグの聖書」とか、とどのつまりは「人皮装丁本」の実物とか、「あわわ」と声を上げそうな映像がいっぱい出てきて、結構、興奮しましたよ。 ただ、稀覯本の価値とはまず縁もゆかりもないうえに、本の所有に関しても、持っているはずの、あの文庫本、この文庫本が、どこにいったかわからなくなりつつある、日々の現実に直面しているせいもあってか、興味を失いつつあるわけで、今一つ乗り切れない面もありましたね。 映像に登場していた、ある本屋さんがいっていましたが、「死んだ後のことは知らない」という趣旨の言葉が心に残りました。 その本屋さんが集めた本の価値はただ事ではないにしても、ぼくの書棚の雑本などは、あとに残されて片づける人には「ただのゴミ」でしかないわけで、「ステイ・ホーム」とかが叫ばれる時節柄でしょうか、「増え始めている我が家のゴミ」に警鐘を鳴らしながら映画館のエスカレーターに乗ったまではよかったのですが、「いや、捨てるのは、読んだ本全部の感想を書いてからだな」などと、わけのわからない妄想を、再びたくましくしたようなわけで、ほんと、「本好き」というのは困ったもんですねというのが、最後の感想でした(笑)。 監督 D・W・ヤング 製作 ジュディス・ミズラキー ダン・ウェクスラー D・W・ヤング 製作総指揮 パーカー・ポージー 撮影 ピーター・ボルテ 編集 D・W・ヤング 音楽 デビッド・ウルマン ナレーション パーカー・ポージー 2019年・99分・G・アメリカ 原題「The Booksellers」 2021・05・24‐no48シネ・リーブル神戸no94 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.22 22:09:22
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