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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2021.08.05
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​​週刊 マンガ便 近藤ようこ・津原泰水「五色の舟」(KADOKAWA) ​​
​ 津原泰水という作家の作品は、ただの一冊も読んだことがないのですが、半年ほど前に、面白いよと教えられたこともあり、名前は憶えていました。​
​ 近藤ようこというマンガ家の作品は、結構好きで、あれこれ読んできました。坂口安吾夏目漱石の原作の「マンガ化」作品は、ボンヤリ読んでいた原作の「読み方」を問い直されてるような気になる展開やシーンに、ハッとさせられることも、一度や二度ではありません。​
 市民図書館の返却の棚に見つけました。
「アッ、近藤ようこや、新作かな?えっ?津原って確か・・・」
​​​​​​ 津原泰水「五色の舟」という短編小説を、近藤ようこマンガ化した作品のようです。
「これはこれは、絶好の機会やん。」
 というわけで、さっそく借り出して読み終えました。
 感想をあれこれ言う気にはなりませんが、巻末に​津原泰水さん​「ワンダー6」近藤ようこさん「あとがき」と題して綴られた文章が載っていました。マンガを読んで「あとがき」を案内するのもなんだか妙ですが、特に近藤ようこさん「あとがき」には、興味惹かれました。​​​​​​

 ぼくが惹かれたのは、「漫画とは何か」を考えさせてくれたところですが、皆さんはどうお読みになるでしょうね。
あとがき 近藤ようこ

 描く前から、最初と最後は柄にもなく少女漫画のようなイメージにしたいと決めていた。この物語の儚さと甘やかさを綺麗に演出したいと思ったのだ。
 「五色の舟」漫画化の話は私はお願いした。原作者の津原泰水さんから承諾をいただけるか大変不安だったが、改変も許すということで、ありがたく手探りしながら描き進めていった。

 小説と漫画は本質的に違うものなので、文章をただ絵解きしても漫画にはならない。原作は音も外の世界も知らない和郎が語り手になっている。それが静かに内向し、ふと踏み外せばそのまま幻の世界に入っていきそうな気配を形作っているのだと思ったが、漫画で同じことをすると浅い物真似にしかならないとわかっていた。

 他者性をもって俯瞰する人物が必要で、その役ができるのは五人の中で清子さんいない。原作でもたぶん清子さんはそういう役回りなのだろうが、漫画ではより強調したおばさんキャラになり、うまく動いてくれた気がする。

 原作では爆弾で消えるはずの都市としか表現されていない場所を、どう描いたらいいだろうと迷ったが、くだんに運ばれた和郎と桜が生きているのは、やはり「産業奨励館が原爆ドームにならなかった世界」であるべきだと思った。原作のファンの方々はどう読んでくださるだろう。
​ ​​​いかがでしたか、津原泰水さん原作と読み比べてみたくなりませんか?近藤さん「少女漫画のような」と書いておられる最初のページを貼っておきますが、実この写真のページは最初の次の見開きで、ホントの最初ではありません。
​​​ 
まあ、いらいらされた方は、実物をお探しください。
​ 作品は原作を知らなくても、近藤ようこの作品として十分に読みごたえがありました。というのは、ぼくは「原作」を読む必要をあまり感じなかったということでもありますね。
 とは言いながら、ちょっと探してみようかなというのも本音としてはあるのですが。(笑)

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最終更新日  2021.08.05 00:29:07
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