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カテゴリ:映画 韓国の監督
キム・ドヨン「82年生まれ、キム・ジヨン」パルシネマ 映画と同じ題名の原作の小説が評判になったのがつい最近だったと思うのですが、あっという間に映画化されて、封切りを見損じたと思っていたらパルシネマでやってくれていました。
キム・ドヨン「82年生まれ、キム・ジヨン」です。 河島直美の「朝が来る」と二本立てで見ました。河島の作品には、なんだかうまく言えない「ウソ」のにおいがしましたが、この作品には、明るく、ストレートに言いたいという、率直な「ホント」を感じました。 新人のピッチャーが全力投球して、タマは早いけど、ちょっとストライクじゃないねという印象です。 原作小説では、主人公キム・ジヨンの担当医が、彼女の訴えを記録した「カルテ」という構成で描かれていた「社会」が、映画ではキム・ジヨンが直接出会う世界として描かれています。 結果的に、現代韓国社会で生きる女性の「ドキュメンタリー」のような体裁で、シンプルでわかりやすいのですが、「社会」も「人間」も、なんというか、分厚さというか、重層性を失っている印象でした。 まあ、その結果というわけでもないのですが、俳優さんたちの演技や、描かれている社会のリアリティに、共感したり、疑問を感じたり、「日本」も一緒やとかいうような感想に落ち着く映画になっている気もしました。それはそれで納得のいく作品なのですが、原作で、構成的要素としてしか描かれていませんが、思い浮かべざるを得ない、男性医師がカルテを記入するときの「意識」の闇については表現しきれていないのではないかという印象を受けました。 キム・ジョンが抵抗している、社会の無意識のような女性に対する抑圧に意識を支配されている男性医師による診察という構造が、女性の医師・カウンセラーに置き換えられて、この映画は作られているわけですが、その結果テーマに対する印象が、少し変わったんじゃないかと感じたわけです。 映画化が原作に対して忠実である必要は全くないと思いますが、最後のシーンで、社会と妻の板挟みになりながらも、終始、妻をいたわり、「やさしい」夫であったデヒュンが、笑顔で「子どもを作ろう!」とジョンに抱き着くのですが、「えっ?なんか解決したの?」って、思わず笑ってしまいました。 なんだか貶しているようですが、しかし、正直で率直な明るさと強さが描かれている後味のいい映画でした。なんといってもこの映画のような率直さは、日本ではあまり見かけないように思うのですが。 「球は、確かに速いんですよ!」(笑) 監督 キム・ドヨン 原作 チョ・ナムジュ 撮影 イ・スンジェ 編集 シン・ミンギョン 音楽 キム・テソン キャスト チョン・ユミ(ジヨン) コン・ユ(デヒュン:夫) キム・ミギョン(ミスク:母) コン・ミンジョン(ウニョン:姉) キム・ソンチョル(ジソク:弟) イ・オル(ヨンス:父) イ・ボンリョン(ヘス:同僚) 2019年・118分・G・韓国 原題「Kim Ji-young: Born 1982」 2021・06・15-no56パルシネマno41 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.20 20:52:21
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