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カテゴリ:演劇「ナショナルシアターライブ」でお昼寝
ナショナル・シアター・ライブ『メディア』KAVC
久しぶりのNational Theatre Liveです。コロナ騒ぎのの余波ということなのか、単にプログラムを見損じているボンヤリのせいなのかわかりませんが、1年以上見ていなかった気がするのですが、今日は勇んでやってきたKAVC、神戸アートビレッジセンターです。 演目はギリシア悲劇、エウリピデスの「王女メディア」です。怒りだか嫉妬だかに狂い、わが子を殺す王女の話ですが、そのメディアを演じるのはヘレン・マックロリーというイギリスの女優さんです。 彼女がこの役でこの映画の舞台に立って、評判をとったのは2014年です。ところが、そのヘレン・マックロリーが、今年、2021年の4月に52歳という若さで亡くなってしまったのです。で、その追悼プログラムとして再上映されたのが、今日の「メディア」です。 古典演劇なのですが、現代的な構成で、ギリシアの神話的な悲劇というよりも、現代の「家庭劇」のおもむきで展開していました。 口から出まかせで、どうも、その場の自己都合で生きている夫と、そんな男のために家族も兄弟も捨ててきた妻という関係ですが、去った夫が、今、最も愛する「あたらしい女性」と、夫との間に出来た「二人の子供」を殺すということで、裏切りに対する「復讐」を実行するという「心理」は、とても家庭劇のサイズでは収まらないですね。そこがこのお芝居の見どころの一つだったと思います。 その、「夫」の浮気に見捨てられ、凡庸な家庭不和のなかに取り残された「妻」であった女性が、一気に、復讐鬼というか、魔性の女というか、「神話」の高みへと駆け上っていくところを見事に演じたヘレン・マックロリーという女優の演技がすごかったですね。 当たり前ですが、あんまり現実的ではない、どちらかというと象徴性に満ちた「嫉妬」なのですが、本当に怒った女性の恐ろしさを堪能しました。 それは、ぼくが「おとこ」であるからなのか、単に気が弱いからそう感じたのかどうかわかりませんが、お芝居のラストあたりで「いや、これで、本当に、愛する、まだ幼い二人の息子を彼女は殺せるのだろうか」と、いぶかしんでいると、暗転した舞台に悲鳴がとどろき、血まみれのメディアが再登場した、その形相に、イヤ、ホント、震えあがりましたね。 お芝居にはカーテン・コールという挨拶の儀式がありますが、ヘレン・マックロリーが血まみれの衣装で、笑いながら登場したのを見て、もう一度、震える気分でした。 「いやあ~化けるもんですねえ。」 それにしても、いい女優さんですね。亡くなったことが、本当に残念です。あまりにも若くなくなってしまったヘレン・マックロリーという女優さんを悼みながら、拍手! 演出 キャリー・クラックネル ロス・マクギボン 原作 エウリピデス 脚本 ベン・パワー 音楽 アリソン・ゴールドフラップ ウィル・グレゴリー キャスト ヘレン・マックロリー(メディア) ダニー・サパーニ(ジェイソン) ミカエラ・コール(ナース) マーティン・ターナー ドミニク・ローワン 2014年・99分・G・イギリス 原題:National Theatre Live: Medea 2021・10・11‐no92・KAVC お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.10.15 01:38:30
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