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カテゴリ:映画 韓国の監督
イ・ファンギョン「偽りの隣人 ある諜報員の告白」シネ・リーブル神戸 週間限定公開とかで、すぐに終わるということでやってきたシネ・リーブルでした。実は住まいの二階あたりで改築工事中らしく、サンデー毎日の自宅ゴロゴロ生活の予定だったシマクマ君、頭上から直接響いてくる騒音に音を上げて逃げ出してきたのです。
でも、まあ、 80年代からの「民主化」をテーマにした韓国映画! ということで、ちょっと期待してやってきました。 チラシにもありますが「タクシー運転手」とか、「1987、ある戦いの真実」とか、個人的な見方にすぎませんが、 韓国映画の、ちょっとやりすぎで、どこか笑えて、それでいて「民主化」ということを正面から受け止めようとしているニュアンス がぼくは好きです。 今日の映画はイ・ファンギョン「偽りの隣人 ある諜報員の告白」です。 この作品もサスペンス仕立てではありますが、どこかコメディを強く意識している監督なのでしょうね、結構、シリアスでバイオレンスな展開を「笑い」で引っ張っている演出に笑ってしまいました。 やる気はあるけど、まっすぐにしか考えられない諜報員ユ・デグォン(チョン・ウ)が旧式トイレの便壺から登場するのがスタートです。 まあ、この辺りから生真面目な「民主化」賛歌ではないことは予想できるわけで、結果的に最後まで結構笑わせてくれたところが好み映画でした。 まっすぐにしか考えられない諜報員ユ・デグォン(チョン・ウ)が、外国帰りの大統領候補イ・ウィシク(オ・ダルス)の自宅を盗聴するとどうなるかというストーリーで、1970年代から続いた、朴正煕の政敵、金大中に対する弾圧をモデルにしているとすぐにわかるストーリーでした。 金大中が実際に交通事故を装って「暗殺」されかけたことは、今では公然の事実です。しかし、その事件の中で、彼の長女が殺されるということがあったのかどうかまではよく知りませんが、この映画の中では殺されてしまいます。 まっすぐにしか考えられない、愛国主義者の諜報員ユ・デグォン(チョン・ウ)が、はっきりと上司に楯突き、「殺してこい」と命じられながらも、自らが盗聴している民主化大統領候補イ・ウィシク(オ・ダルス)を救うため、人間として「まっすぐ」に行動する契機になるのがその事件なのですが、この時代の後、民主化を支持した韓国の人々にとって、「タクシー運転手」の主人公がそうであったように、主人公の素朴な心情の描き方に 「ほんとうの事」 を感じました。 最後のクライマックスシーンのカー・チェイスの最中、素っ裸になって路上を走り回る、主人公の「滑稽さ」と正直な「善意」の姿は、韓国の民主化の「強さ」と「弱さ」の両方を表している印象を持ちました。特にこの作品は「愛国」者が「民主」化を選ぶ姿を描くことで、「本当の愛国」を問いかけているのだろうと思うのですが、一抹の疑問が残ったことも忘れないでおこうと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.08.02 10:03:14
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