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カテゴリ:映画 フランスの監督
ルネ・クレール「ル・ミリオン」シネ・リーブル神戸 ルネ・クレール・レトロスペクティブという特集番組に通いました。これが三本目で、作品は「ル・ミリオン」です。ルネ・クレールが「巴里の屋根の下」に続いて撮りあげた1931年の制作で、トーキー第2作だそうです。
で、お話は、宝くじの当たり券を巡って繰り広げられるドタバタ・コメディですが、やはり歌と踊り、いや、いや、ダンスというべきでしょうか(?)が、実に楽しい作品でした。 1930年ごろの、ヨーロッパ、パリが映っていることにも興味を惹かれました。衣装とか髪型も時代のものなのでしょうね。 パリのアパートで暮らす借金まみれの画家ミシェル(ルネ・ルフェーブル)と、その婚約者でオペラ座ダンサーのベアトリス(アナベラ)のカップルに、狂言回しのようにチューリップおやじ(ポール・オリヴィエ)と呼ばれる、結局、最後まで素性も年齢もよくわからなかったのですが、まあ、その「オヤジ」が絡みます。 ミシェルが買った宝くじの当選を友人プロスペール(ルイ・アリベール)知らせに来るところから、映画は始まるのですが、当たっているはずの宝くじの行方がミシェルの上着とともに転々とするのを追っかける話です。 あほらしいほど、定型ですが、これが始まりだというところがすごいわけで、今見ても飽きずに見続けてしまう「間合い」というか、「テンポ」というか、次々と勃発する他のエピソードとの絡み合いに感心しました。 フランス語はわかりませんが「ル・ミリオン」というのは「百万長者」くらいの意味なのでしょうかね、この題と上の絵ハガキのカップル写真を見た時には、その時代っぽい、ゆったりしたメロドラマを予想していましたが、大違いでした。 特に面白かったのは、映画の始まりと終わりが、くじが当たったことを大喜びする、同じアパートとか町内とかの人々の大宴会シーンだったことです。 踊って歌う民衆の世界です。実に古典的というか、ラブレーとかブリューゲルの世界まで思い起こさせるそれって、映画という「見世物」の起源につながっているシーンなのかもしれませんね。 今の目で見ると、みんなで盛り上がって笑ったり泣いたりする世界が、一人で納得する世界へ洗練(?)されていったのが、映画の歴史だったことを実感させてくれる名シーンですね。 今更な感想かもしれませんが、男と女のメロドラマなのに、ドタバタで、あれあれと思っていると大団円で歌って踊る、楽しいことはみんな出てくるルネ・クレールの手練手管に拍手!でした。 監督 ルネ・クレール 原作戯曲 ジョルジュ・ベル マルセル・ギュモー 脚本 ルネ・クレール 撮影 ジョルジュ・ペリナール 美術 ラザール・メールソン 音楽 アルマン・ベルナール フィリップ・バレス ジョルジュ・バン・パリス アナベラ(ベアトリス) ルネ・ルフェーブル(ミシェル・ブフレット) ポール・オリビエ(クロシャール) ルイ・アリベール(プロスペロー) ヴァンダ・グレヴィル(ヴァンダ) 1931年・83分・G・フランス 原題「Le Million」 2021・11・14‐no109シネ・リーブル神戸no128 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.01.05 20:38:51
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