浦沢直樹「あさドラ 6」(小学館)
2022年1月のマンガ便に入っていた、浦沢直樹の「あさドラ 6」最新号です。ヒロインのあさチャンが、少しづつ大人びてきていますが、素敵ですね。
マンガが描いているのは、もう、ご存知の通り1964年10月の出来事です。1964年といえば、先の東京オリンピックですが、その開会式前後に東京湾に出没したらしい「怪獣出現事件」というメイン・ストーリーが、「タレント」、「マラソンランナー」、「女子プロレスラー」という、いかにもといえば、いかにもな1964年当時の高校生の夢と重ねられて、1964年の10月が描かれています。
読者のゴジラ老人は、当時、小学校の4年生でした。10歳です。主人公のアサちゃんやマラソン少年の早田正太君たちが高校生くらいで、5歳くらい年上ですが、いわゆる団塊の世代の人たちです。大学に進むとゲバ棒青年になるはずですが、登場人物の中に大学に進む人なんて誰もいない雰囲気がいかにも1964年のリアルです。そういう時代があったことを60代後半の老人に思い出させるマンガが、2022年の今、リアルに書かれていることが、ぼくには懐かしくもあり、不思議でもあるのです。
いや、それにしても、「この展開で、どうやって結末にたどり着けるのだろう?」というふうに、しっかり引っ張り込まれている自分も自分ですが、浦沢直樹君もなかなかやるものですね。
今回の次号待ちの話題は、もちろん、東京湾で尻尾を振り上げている怪獣もですが、30キロあたりから独走態勢に入った、あのアベベと甲州街道を走ろうとしている、あさチャンの同郷の先輩、新聞配達の早田正太君や如何に?ですね。いやはや、上手に引っ張るものです。
やっぱり次号がのお話が楽しみですというわけですが、もう一つ、ご覧の通り今回は高校生風の「あさチャン」でしたが、次号の表紙の「あさチャン」がどんなポートレイトになるのか、そこも興味津々ですね。