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カテゴリ:映画 アメリカの監督
クリント・イーストウッド「クライ・マッチョ」109シネマズ・ハット
今日は2022年の1月26日です。ネットニュースによれば兵庫県のコロナ陽性確認数は4000人を越えました。1月の7日ころから、毎日のように映画館に出かけていたのですが、あまりの数字に先週あたりから躊躇する気分が湧いてきて、今日も朝から「どうしようかなあ」と思案した結果、「ここなら大丈夫かな」と選んだのが109シネマズ・ハットでした。 映画はクリント・イーストウッドの最新作「クライ・マッチョ」です。やって来た109シネマズ・ハットはイースト・ウッドなんのそのという感じの安全地帯でした(笑)。 映画は90歳を超えたクリント・イーストウッドが、カウボーイの栄光も、家族も、仕事も失ったマイク・マイロという老人を演じていました。 その老人が、昔、世話になった雇い主ハワード・ポルク(ドワイト・ヨーカム)からメキシコにいる息子のラフォ(エドゥアルド・ミネット)を誘拐して連れてくるよう依頼されるところから旅が始まります。 ぼくはイーストウッドといえばハリー・キャラハンしか浮かばない程度の、まあ、ファンともいえないファンだったのですが、2019年に公開された「運び屋」を見て以来、ちょっと目が離せない俳優だと感じていました。 あの映画でぼくが気に入ったのが画面に現れる表情と物腰だったことを、この作品ではっきり再確認しました。要するに、ぼくを惹きつけたのは「老い」の姿だったのですね。 この作品の前半、特にラフォの母親レタの描き方には「なんだかなあ?」というところがあったり、ぼくには面白かったのですがラファがマッチョと名付けて飼っている闘鶏用のニワトリの大活躍あたりも、少々無理があるといえば無理があるプロットだったりするのですが、カウボーイハットをとった老人が通じるはずのない13歳の少年に人生を振り返って語り掛けるシーンは、やはり見にきてよかったと思わせるに十分でした。 「語らない」はずのイーストウッドが少年を相手に語る姿は、自らの映画人生そのものを語っている老優の印象で、「老い」を晒しながら、訥々と「自分の道は自分で決めろ」と語りかけているシーンに「ある時代」の終わりを、じみじみと実感しました。 「俺はドリトルか」と自嘲したり、チキンに助けられたり、馬に乗っても座っているだけだったり、「運び屋」を疑われてイライラしたり、それでも最後は老いらくの恋の道を「自分で選ぶ」イーストウッドに拍手!でした。 久しぶりにパンフレットを買い込みました。イヤ、ホント30年ぶりです。チッチキ夫人に見せびらかしたかったんです。表紙には眩しげに遠くを見る懐かしのアウトローの老いた眼差しが写っていますが、ページをめくって出てきたこの写真にため息が出ました。 映画の中でも、思わず見入りましたが、馬を撫でているのは素顔のイーストウッドだと思いました。やさしい目と意志的な口元。素顔でスクリーンに登場し、思わず涙を流させることのできる俳優がいったい何人いるのでしょう。まあ、それにしても、この感想も老人のたわごとかもしれませんね(笑)。 監督 クリント・イーストウッド 原作 N・リチャード・ナッシュ 脚本 ニック・シェンク N・リチャード・ナッシュ 撮影 ベン・デイビス 美術 ロン・リース 衣装 デボラ・ホッパー 編集 ジョエル・コックス 音楽 マーク・マンシーナ キャスト クリント・イーストウッド(マイク・マイロ) エドゥアルド・ミネット(ラフォ) ナタリア・トラベン(村の寡婦マルタ) ドワイト・ヨーカム(ハワード・ポルク) フェルナンダ・ウレホラ(ラファの母レタ) 2021年・104分・アメリカ 原題「Cry Macho」 2022・01・26-no12・109シネマズ・ハットno6 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.14 23:19:31
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