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カテゴリ:週刊マンガ便「コミック」
田泰弘「紛争でしたら八田まで(1~4)」(MORNINNG KC 講談社)
なんか、またまた新しいマンガやってきました。2022年の1月のマンガ便です。いろいろ新しい趣向で書かれているのですねえ。 今度は「地政学」なのだそうです。なんか、薀蓄というか思い出になってしまいますが、40年もまえに勉強しました。ここの所「リアル・ポリティクス」とかを標榜する、なんだか、イマイチ、インチキっぽい政治学者や軍事学者(まあ、政治学の一分野なのでしょうが)、経済学者の煽り始めた学問(?)ですが、70年代に国文学の学生だったぼくが必読文献で読まされた本にありました。 今考えれば変な方向ですが、丸山眞男や橋川文三方面も、ほぼ必読でしたから、先生がそういう方だったのでしょうね。 当時、地政学という学問そのものが、ちょっとタブーな雰囲気で、本もそんなにありませんでしたが面白かった思い出で残っているのはカール・シュミットというナチス・ドイツの法学者の「陸と海と」(福村書店)ですね。目からうろこだった感想だけは憶えていますが、内容はとんと覚えていません。最近、日経BPという出版社で再出版されているようで、やっぱりちょっとブームなのでしょうね。 で、今回のマンガは田泰弘の「紛争でしたら八田まで」です。「地政学科」なんていう学科はおそらくありませんから、政治学で、戦争のお好きな方に学ばれたのでしょうね、そのうえ彼女はプロレスのファンで、格闘技の腕前は半端ないときていて、表紙をご覧になればお分かりだと思いますが、コスチュームはブーツにミニスカートです。まあ、ぼくは老人なのでそっちの方面も「ああ、そうですか」という気分で読み始めました。やたら「ビッチ」が出てくるのには辟易しますが、案外面白いのですね、これが。 ウソかホントかはわかりませんが、いわゆるトラブル対処のコンサルタントという職業があるようで、主人公の八田百合さんは世界中の紛争地帯を飛び回って「八田のチセイ」で解決するというコンサルタント業なのですが、まあ、いってしまえばマンガ世界漫遊記みたいなものでした。 ミャンマー、タンザニアが第1巻の現場で、イギリス、ウクライナが第2巻です。ゴルゴ13が激賞しているらしいです。 第3巻では日本の不良女子中学生の勢力争いを仲介しながら女子中学生たちに講義して、それからインドに出かけます。 で、第4巻がアイスランドです。宣伝用の腰巻には古市某という方が、作家なのか学者なのか知りませんが、「マンガでわかる地政学入門としても読める」とか何とか宣伝なさっていますが、ホントなのでしょうかね。手軽にわかっちゃう時代ですからいいのですが、なんか誤解が蔓延しそうな気もしますね(笑)。 世界漫遊記と茶化したのには訳があります。このマンガのオリジナリティというか、特色の一つは「地図」と「政治状況」の紹介で、専門家の意見や解説まで載っています。まあ、めんどくさいマンガなわけですが、もう一つはその地域独特のジャンクフードというか、B級グルメの紹介です。 最近食欲とはさして縁のないシマクマ君には、さほどアピールしませんが、田泰弘というマンガ家が、今現在なのか、かつてなのかはわかりませんが、案外というか、ひょっとしたらというか、丁寧な取材をしているのかもしれないと思わせるジャンクフードの描写があちこちにあられて感心します。 たとえば第4巻ではアイスランドの朝ごはんの「スキル」なんていう乳製品とか「フラットカーカ」というパンとか出てきますが、Yチューブかなんで調べて書いているのでしょうかね。アイスランドなんて行くの大変そうなんですが(笑)。 巻末には、地政学に関する図書案内もあったりして、世界情勢なんてまじめに取り合う気のない手抜きのサラリーマンには絶好のヒマつぶし勉強マンガかもしれませんね。 まあ、暇を持て余している前期高齢者のシマクマ君もしっかりはまって、ただいま第5巻読了です(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.04.08 23:22:05
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