ハワード・ホークス「紳士は金髪がお好き」シネ・リーブル神戸 「テアトル・クラシックス ACT.1 愛しのミュージカル映画たち」という企画がシネ・リーブル神戸で始まりました。20代に見たことが作品もありますが、どうせみんな忘れているわけで、ミュージカル映画総復習シリーズということで通い始めました。
初日はハワード・ホークス監督の「紳士は金髪がお好き」でした。ショー・ガールの二人組ローレライ・リーちゃん(マリリン・モンロー)とドロシー・ラッセルさん(ジェーン・ラッセル)の歌と踊りとお色気に堪能しました。
69年前の映画で、68歳のぼくより年上です。だいたいマリリン・モンローという女優さんだって、1962年に36歳の若さで亡くなっているわけで、70年代の半ばごろから映画を見始めたシマクマ君にとっては、当時からすでに「名画座」の人でした。
で、今回見直したわけですが、まあ、初めて見たようなものです。とても楽しい映画でした。
なんといっても、この年になって実に素直に感動しました。マリリン・モンローのおバカな可愛らしさが素晴らしいですね。ドロシーさんと二人で踊りながら歌う最初のシーンに始まって、おしゃべりの調子とか、声とか、一人で歌う「Diamonds Are a Girl's Best Friend」なんて、歌詞が歌詞なだけに、おもわず笑うしかない明るさです。
シマクマ君は、どっちかというと、彼女については、スキャンダラスで不幸な晩年(?)しか知らない世代なわけですが、こうして見直して見ると、この、底抜けな明るさは、ちょっと、追随を許さないというか、誰か、あの人にという例は思いつかないですね。
もうひとつ面白かったのは、映画の中でドロシー役のジェーン・ラッセルさんがマリリン・モンローのリーちゃんに化けるのですが、これが笑えましたね。そっくりです。
「いいんですかね?こういうのやっちゃって。」
やらせているハワード・ホークス監督も監督ですが、やっているジェーン・ラッセルさんも、結構ノリノリな様子で大したものです。
それから子役の使い方も上手いですね。ヘンリー・スポフォード三世とか名乗らせて、小学生の少年が出てくるところなんて、マリリン・モンローのおバカぶりとぴったしで、取り合わせのうまさに感心しました。
あとは歌です。Two Little Girls from Little Rock(リトルロックから来た娘)とか、今ではスタンダードな歌らしいですが、劇中歌として、主役の二人の紹介のように歌われているのが楽しいですね。
確かに古い作品なのですが、たとえばモンローとか、ジェーン・ラッセルとかがセックスシンボルとか、デカイおっぱいの人として受け取られていたらしい当時に比べて、ただのおきゃんな女の子にしか見えない現在があるわけで、それは見ているこっちが年を取ったというよりも、映画を見ている社会の変化のせいじゃないかとも思うのですが。
何はともあれ監督のハワード・ホークスさんにも、ジェーン・ラッセルとマリリン・モンローの二人の女優さんにも拍手!でした。
「 愛しのミュージカル映画たち」のシリーズ、文字通り「愛しい」ことがよく分かりました。ちょっと頑張って通いたいと思います。
監督 ハワード・ホークス
製作 ソル・C・シーゲル
原作 ジョゼフ・フィルズ アニタ・ルース
撮影 ハリー・J・ワイルド
美術 ジョセフ・C・ライト ライル・ウィーラー
作詞 レオ・ロビン
作曲 ジュール・スタイン
音楽 ライオネル・ニューマン ジュール・スタイン
キャスト
ジェーン・ラッセル(ドロシー・ショー)
マリリン・モンロー(ローレライ・リー)
チャールズ・コバーン(ビークマン卿)
ノーマ・ヴァーデン(ビークマン夫人)
エリオット・リード(アーニー・マローン探偵)
トミー・ヌーナン(ガス・エズモンド・ジュニア)
テイラー・ホームズ(エズモンド・シニア)
ジョージ・ウィンスロウ(ヘンリー・スポフォード三世・金持ちの少年)
ジョージ・チャキリス(どこに出てたかわからなかった)
1953年・91分・G・アメリカ
原題「Gentleman Prefer Blondes」
日本初公開1953年8月19日
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