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カテゴリ:週刊マンガ便「コミック」
週刊マンガ便 はるき悦巳「どらン猫小鉄 奮戦記」(二葉文庫) 2022年の2月のマンガ便に入っていました。もうなんにもいう必要のないマンガです。シマクマ君のお家で長年愛してきた「じゃりン子チエ」の文庫版です。奥付を見ると2020年9月13日初版となっていますから、最近の復刊ですが、「小鉄」と「ジュニア」という、ネコ君たちが主人公の話を「どらン猫小鉄 奮戦記」と新しい書名をつけて再編集して作った本のようです。2020年の「大阪ほんま本大賞」とかの特別賞を受賞しているらしいです。
「何を今さら」という気もしますが、新たな読者の目に触れるのはうれしい限りです。ご存じない方のため解説すると、二匹の「ネコ君」は、表紙のまえにいるのが「小鉄」君、後ろで笑っているのが「ジュニア」君ですが、それぞれ「小鉄」君はチエちゃんの経営するホルモン焼き屋の、「ジュニア」君はチエちゃんのパパのテツが出入りしている、お好み焼き屋「堅気屋」、実は花札博奕の博奕場「遊興倶楽部」の、それぞれ家ネコのように暮らしていますが、もともとはさすらいの「極道ネコ」でした。 今は「小鉄」君は、主人のチエちゃんの極道パパ、テツの名前をもじって「小鉄」と名乗っていますが、「月の輪の雷蔵」という、そっち方面では伝説化されている渡世の仇名を持つ任侠猫でした。今でも「必殺タマつぶし」という必殺技を繰り出すことがないわけではありませんが、そのあたりの「野良」を相手には暴れたり威張ったりしない、まあ、雷蔵さんなわけです。 上のページがジュニア君とおっさんとの出会いのなれそめですが、もう一匹のジュニア君が暮らしているのは、「堅気屋」というお好み焼き屋ですが、実はここの主人は百合根光三というおっさんで、もともとは博奕うちですが、テツという異常人格と出会って尻尾を撒いた、ネコ好きのおじさんになっています。 このマンガがいいのは「小鉄」君はチエちゃんの境遇に対する愛に生きていますし、ジュニア君は百合根光三さんに対しては、飼い主としてなのか、人柄に対してなのかわかりませんが、仁義を通していることにあるところだと思います。 二匹は、客観的に人間や野良猫の世界を見ているのではなく、それぞれの境遇を生きているわけで、まあ、それは猫の技とは言い難い、人間的なあり方なのですが、マンガとしては、そこに飽きることがない所以があると思います。 マンガトータルでいえば、はるき悦巳というマンガ家がとてつもなく映画の好きなおっさん(?)であることは明らかで、キャラクターのデフォルメの中にも、ストーリーの展開の中にも映画好きを感じてうれしい限りですが、今回読み直して、ト書きの多さには、ちょっと呆れました。老眼化したシマクマ君の目には、ト書きで延々と書き込まれる物語をじっくり読むのは不可能でした。そういう意味では、これを読んだ若いころが、実に懐かしいマンガでしたが、若い人が辛抱強くト書きを読んで好きになってくれたらうれしいと心から思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.04.10 01:09:06
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