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ケネス・ブラナー「ベルファスト」シネ・リーブル神戸 1969年ですから、もう50年以上も前のことですが、北アイルランドからイングランドのレディングという町に引っ越してきた少年から一通の手紙を受け取りました。
こんにちは、みなさんはベルファストという町をご存知ですか。ぼくが先週まで家族と暮らしていた北アイルランドの港町です。 少年は、その後、演劇学校を出て俳優になり、やがて映画監督になったようです。その彼から、最近ビデオ・レターを受け取りました。少年時代の家族の姿がドラマチックに写っているモノクロのドキュメンタリー・フィルムでしたが、それを編集し直して「ベルファスト」という映画にしたらしいのですが、その映画ははアカデミー賞で脚本賞をとったそうです。劇場で見ましたが、失われた時がうつくしく描かれていて、胸を打つ作品になっていました。 と、まあ、紹介すればこうなるわけですが、一つだけ引っかかるのは、少年は大人になって映画として1969年のベルファストを描いているわけですが、カトリックとプロテスタントの争いが、大英帝国の植民地主義の結果であることについて、なんとなく判断保留のまま描いていることでした。 映画のラストシーンで名優ジュディ・デンチがベルファストの町を出ていく子供たちの家族に言い放った 「振りむかずに、前を向いてすすめ!」 という「名セリフ」を聴きながら、ふと、思ったのですが、イギリスのアイルランド問題はこの50年で片が付いたのでしょうか。 とはいうものの、家族の物語としてみれば、たとえば、出稼ぎ暮らしの夫(ジェイミー・ドーナン)が妻(カトリーナ・バルフ)に向かって言う 「子どもたちは、みんな、あなたが育てたんだ」 という和解のセリフをはじめとする夫婦げんかのリアルさや、散り散りになりそうな若い家族を支える祖父母の存在の描き方は、さすがケネス・ブラナーなわけで、しっかり泣かせていただきました。 おじいちゃんのキアラン・ハインズ、おばあちゃんの、まあ、ちょっと太り過ぎじゃないかと心配でしたが、ジュディ・デンチには文句なしに拍手!でした。 監督 ケネス・ブラナー 脚本 ケネス・ブラナー 撮影 ハリス・ザンバーラウコス 美術 ジム・クレイ 衣装 シャーロット・ウォルター 編集 ウナ・ニ・ドンガイル 音楽 バン・モリソン キャスト ジュード・ヒル(バディ) ルイス・マカスキー(ウィル お兄ちゃん) カトリーナ・バルフ(お母さん) ジェイミー・ドーナン(お父さん) ジュディ・デンチ(おばあちゃん) キアラン・ハインズ(おじいちゃん) コリン・モーガン(ビリー・クラントン) 2021年・98分・G・イギリス 原題「Belfast」 2022・03・28-no40・シネ・リーブル神戸no148 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.09.09 21:54:03
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