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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2022.05.05
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​​小梅けいと「戦争は女の顔をしていない(3)」(KADOKAWA) 2022年4月マンガ便に入っていました。ノーベル文学賞のジャーナリスト、スヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチ「戦争は女の顔をしていない」(岩波現代文庫)のマンガ化作品ですが、1年に1冊のペースで、今回が第3巻でした。2021年度「日本漫画家協会賞」「まんが王国とっとり賞」を受賞したそうです。ちなみに大賞は「鬼滅の刃」だそうですが、こちらのマンガはウクライナで戦争が始まったことがジャスト・ミートした様子で、原作の文庫の古本価格が高止まりしています。
 原作者であるスヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチは、たしか、ベラルーシの方だったと思います。ロシアが戦争を仕掛けているウクライナの隣の国ですね。どんな思いで、今の世界情勢をご覧になっているのでしょうね。
​ さて、小梅けいと「戦争は女の顔をしていない(3)」ですが、今回も1話、1話、丁寧に描かれています。どの話も、笑って読める話ではないのですが、読み始めると。一言一言が心に残ります。​
 第16話の語り手はタマーラ・ステバノヴィナ・ウムニャギナという老齢の女性で、戦時には衛生指導員で赤軍の伍長だった人です。
​ ほぼ100ページに渡って、彼女の出征、レニングラード攻防戦の悲惨で過酷な戦場体験、戦後、戦場で知り合った夫の家族や戦地を知らない人たちから「戦場花嫁」と侮辱された生活、インタビューするアレクシェーヴィッチタマーラ​が記憶に悶えながら語る姿を、何とか「マンガ」にしようとする小梅けいとの工夫と誠実を感じさせるコマ割りとか絵柄が続きますが、その最後のシーンがこのページでした。​​
ねえあんた
ひとつは憎しみのための心
もう一つは愛情のための心ってことはあり得ないんだよ
人間には心が一つしかない
自分の心をどうやって救うかって
いつもそのことを考えてきたよ

戦後何年もたって
空を見るのが怖かった
​ 世界のどこかで、今、空を見上げて怯える子供たちがいて、たとえ戦争が終わっても、その記憶を憎しみであるか、愛情であるか、心の底に抱えながら生きていかざるを得ない人生を強制されていることを、PTSDとかトラウマとかいう言葉で説明して、わかった気になるのだけはやめておこうとシマクマ君は思いました。
​ 小梅けいとの努力を感じる力作でした。​

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最終更新日  2022.05.05 00:07:42
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