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カテゴリ:映画 フランスの監督
ブリュノ・デュモン「ジャンヌ」元町映画館 ブリュノ・デュモン監督の「ジャネット・ジャンヌ」という2部作の第2部「ジャンヌ」を見ました。第1部の「ジャネット」の後半、少しおねーさんになったところで女優さんが変わったのですが、第2部の「ジャンヌ」は最初の少女だったジャネット役のリーズ・ルプラ・プリュドムのままでした。写真はフランス王との出会いのシーンですが、これがなかなか見ごたえのある「ジャンヌ」を演じていました。
第1部は無垢な羊飼いの少女が神のお告げを聞き「ジャンヌ・ダルク」に成長する物語でしたが、第2部はオルレアンでの奇跡の勝利の後の、いわば不如意のジャンヌでした。 厭戦気分のフランス王、虐げられたまま、敵に奪われたままのフランスの国土と民衆、第1部同様に、極度に抽象化・象徴化された映像でストーリーがすすみますから、当時の歴史についてあやふやな知識しかないシマクマ君には映画はますます意味不明の沼地へと突き進んでいく様相でした。オルレアンの少女について、ずっと昔に読んだことがあるとはいえ、まあ、何が起こっているのかわけがわからないという印象なのです。 その中で、妙にリアルだったのが、位や身分はよく分かりませんが、聖職者、要するにキリスト教の教会のエライさんなのでしょうね、その男たちの「表情」と「発言」でした。 ジャンヌが神の使いと会い、神の言葉を聴いたということが、いかにウソであるかということを、教会で聖書を読むことができる自らこそが神の僕であるという大前提を根拠に、オルレアン以降の戦いの敗北を理由に、ジャンヌが「神の声」を聴いたということが偽りであると追及していくのが、第2部の山場といっていいのですが、なんだか、昔の職場で、まあ、たとえば「タバコを吸った」とか、「カンニングをした」とか疑いをかけた生徒に対して、「指導」と称して、いかに、自らが「教育者」であるかという振舞に自己満足している輩(同僚の教員)を思い出してしまいました。辟易しながらも、ある異様なリアリティに感心しました。 もっとも、ジャンヌは 「それについてはお話しません。」と最後まで突っ張りきるわけですが、結局、丘の上で焼かれているシーンが遠くに映し出されて映画は終わります。 そこには、タバコを吸ったと疑われた少年たちの、鼻白んだ猜疑の眼差しではなく、キッパリと拒否を貫く、なんというか絶対的に「明るい」眼差しがありました。信仰の絶対性とでもいうべきでしょうか。聖書や教会を後ろ盾にした権力化した信仰の欺瞞に対する、 「わたしは神に会った」 とでもいう一回限りの経験の絶対性が眼差しに宿っていたというべきでしょうか。 このシーンを演じた主演の少女リーズ・ルプラ・プリュドム(ジャンヌ)と監督のブリュノ・デュモンに拍手!でした。 それにしても、教会の人びとの演技も、鬱陶しさが実にリアルで、見ていて腹立たしい限りなのですが、実は、感心しました。拍手!ですね。監督 ブリュノ・デュモン 原作 シャルル・ペギー 脚本 ブリュノ・デュモン 撮影 デビッド・シャンビル 音楽 クリストフ キャスト リーズ・ルプラ・プリュドム(ジャンヌ) ファブリス・ルキーニ(シャルル7世) 2019年・138分・カラー・ビスタ・フランス語 原題「Jeanne」 英題「 Joan of Arc」 2022・05・23-no70・元町映画館no129 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.11.11 22:33:25
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