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カテゴリ:週刊マンガ便「コミック」
岡本蛍・刀根夕子「おもいでぽろぽろ」(文春ジブリ文庫・シネマコミック6)
市民図書館の新刊の棚にありましたが2014年の新刊です。高畑勲が1991年に映画化したアニメ映画「おもいでぽろぽろ」の文庫マンガです。 映画の「おもいでぽろぽろ」はテレビで見た覚えがあります。うちの玄関にはナウシカのポスターが飾ってありますがジブリのアニメ映画を映画館で見た記憶はありません。ポスターは同居人の趣味ですが、シマクマ君もジブリのアニメは好きです。 で、文庫の「おもいでぽろぽろ」です。何となく借りてきたのですが、思いのほか面白かったですね。映画でもないし、普段読んでいるマンガでもない味わいでした。 お話は、アニメをご覧になった方はご存知でしょうが、20代の後半くらいの年齢でしょうか、東京でOL暮らしをしているタエ子が山形県の農家に「田舎体験」に行くのですが、一緒に10数年前の、つまりは小学校時代の自分や友達を引き連れていくという思い出語り、「おもいでぽろぽろ」と、新しい出会いの経緯と新しい出発の予感が描かれています。当たり前ですが、映画と同じです。 これが登場人物のページです。映画と一緒に読めば、まあ、解説ブックというわけです。見たことがあるぼくには思い出しブックでした。 1966年に小学生ですから1982年には20代の後半です。現在、ご存命であれば還暦を過ぎていらっしゃるわけで、おそらく山形あたりで紅花栽培の農家のオバーチャンとしてお過ごしだろうと読み終えて思いました。 「ああ、同世代だ」と感じたのはこの歌を、たぶん、タエ子が一緒に暮らすことになるトシオが歌うからです。 『ドン・ガバチョの未来を信ずる歌』 歌えますか、ぼくは歌えます。マンガの中では歌詞を覚え間違っていましたが、トシオ君が陽気に歌っていました。 お話の展開上は、なかなか、二人が心を許しあいはじめる、まあ、思わせぶりなシーンなのですが、二人がドン・ガバチョの歌を歌うシーンです。 「ひょっこりひょうたん島」の登場人物たちにのいろんなテーマ・ソングは、伴奏が鳴り始めれば、少なくとも、鼻歌でなら歌えるのが、今、現在の60代に共通の感覚でしょうね。で、その共通感感覚を共有しているとわかると、今でも、いや、今だからでしょうか、うれしいものです。 読んでいて、心に残ったのはこのシーンでした。 転校生の少年あべ君のことをタエ子が思い出しながら、自分自身について考えこんでいくシーンなのですが、今、隣にいるトシオ君との今後の関係についてはともかく、フト浮かんでくる、自分自身の子ども時代や若い頃の小さな記憶から、自分自身の正体について考えをめぐらすことを繰り返しながら、人は年をとっていくとでもいうのでしょうか、70歳になろうかという年齢になっても、たいていの場合、自己否定的な契機として浮かんでくる小さな記憶の描き方が印象に残りました。 こういう場面を数ページ、繰り返して辿り直せるのはマンガのいいところですね。このシリーズ、ちょっとはまりそうです(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.08.01 12:25:08
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