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カテゴリ:週刊マンガ便「コミック」
魚豊「チ。 第8集」(スピリッツCOMICS)
2022年、7月のマンガ便で届きました。魚豊「チ。 第8集」(スピリッツCOMICS)、最終巻です。ヤサイクンも辛抱がいいですね。シマクマ君も、第1巻の、あまりにグロテスクな絵に、まあ、へきえきという感じだったのですが。結局、最終巻の第8巻まで読み終えました(笑)。 コペ転という言葉がありますね。コペルニクス的転回の省略形ですが、モノの見方が180度変わることをいうのですが、この言葉は哲学者のカントが作った言葉だそうです。まあ、どうでもいいことですが。ご存知だったでしょうか? で、コペ転という言葉の主はニコラウス・コペルニクスですね。「天球の回転について」という本で「地動説」を唱えて、当時の西洋キリスト教世界を「コペ転」させた、1473年2月19日生まれで、1543年5月24日、70歳で亡くなったポーランドの人です。 「天球の回転について」という本は、彼の死んだ日に完成したのだそうで、彼自身は「コペ転」した世界の騒ぎ(まあ、それがあったとして)は知らないままあの世に行ったわけですが、実は彼はカトリック教会の司祭だったってご存知でしょうか。ちなみに、イマヌエル・カントは18世紀後半のドイツの哲学者です。 なんだか、つまらないことをうだうだ書いていますが、魚豊の、このマンガ「チ。」の舞台は、コペルニクスが登場する100年ほど前のヨーロッパ世界だったようで、最後の最後までたくさんの人が殺されるマンガでしたが、教会によるとんでもない異端狩り、魔女狩りの時代を描いていたのですね。 地動説という異端学説を巡っての人殺し漫画だったのですが、最後の、この8巻で死んだのは、殺すだけ殺してきた異端審問官ノヴァクと、暗記している「地動説」を本にして一儲けしようと夢を見るドゥラカという、若い女性でした。 この最終巻の前半では、二人の死のシーンが、懇切丁寧に描かれていて、コペルニクスからガリレオにかけて正統化され、正史の道を歩むことになる「地動説」の前史ともいうべき、あれこれ掛けられていて大変だった、「チ」の物語はドゥラカの命とともに終わりました。これが、彼女の最後のシーンです。 で、学説保持者と異端狩りの双方が、マンガの舞台から立ち去り、マンガの最後の舞台には、後にコペルニクスの師匠になるアルベルト・ブルゼフスキという学者の卵が登場し「地球の運動」の正史が始まるところで終わります。 というわけで、魚豊君が描きたかったのが、すべてを頭の中に記憶しながら、その学説を、もう一度紙に戻し、出版して、一儲けしようと夢見ながら、かなわないまま死んでしまったドゥラカの脳の中に消えてしまった「チ」まみれの「チ」の歴史だったことに、ようやく得心したシマクマ君なのですが、なにせ細かいト書きで語られるお話に、目がついていかなくて難渋しまくったのですが、まあ、なんとか最終巻にたどり着いてメデタシ、メデタシでした(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.07.12 02:47:51
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