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シャンタル・アケルマン「囚われの女」シネマ神戸 シネマ神戸でやっていたシャンタル・アケルマン映画祭で見た2本目が「囚われの女」でした。前日に「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」という作品で、わかったようなわからないような、まあ、小説とかではなくて、映画を見るというのは、こういう体験なのかなという感じの不思議な興奮を体験して、早速、二匹目の泥鰌を期待してやってきましたが、まあ、空振りでしたね(笑)。
暗い海原で大きな波がうねっている、まあ、あとから考えれば何とも思わせぶりなシーンから映画は始まりました。恋愛関係で結ばれているのであろう二人の男女が登場します。映画は二人の関係「恋愛」の非対称性を徹底して描いていく趣です。愛し合っている男女という関係において、女が男に対して持っている感情と、男が女に対して持っている感情のずれを描くことは「恋愛小説」の常道の一つだと思いますが、この映画では、男性であるシモンが、その意識の中にアリアーヌという女性を作り上げていくプロセスこそが主題化されているようで、印象的な映像に驚きながら、ほとほと疲れ果てました。 意識が作り上げた虚像(?)が肥大化していき、実像(本物のアリアーヌ)からの不可解とあきらめの眼差しに晒されながら、あくまでも虚像の世界に固執する男(シモン)の姿を見ながら、何とも言えないやな気分になったのはぼくが男だからでしょうかね(笑) アリアーヌを失って海から帰ってくるラスト・シーンにも、ほとんど唖然としました。救助船(?)の甲板に一人立っているシモンの姿になに見たらいいのか、正直わかりませんでした(笑)。 前日に見たジャンヌは、あくまでもカッコつきですが、「女性的視点」で描いた女性だと思いましたが、この作品は「女性的視点」で描いた男性ということなのでしょうか? プルーストの原作は読んだことがあるような記憶がありますが、似た趣向だったかもしれませんが、もっと穏やかだった記憶しかありませんね。 まあ、それにしても、シャンタル・アケルマンという監督の徹底性というか、冷徹というかにはビビりながら拍手!ですね。 監督 シャンタル・アケルマン 原案 マルセル・プルースト 脚本 シャンタル・アケルマン 撮影 サビーヌ・ランスラン キャスト スタニスラス・メラール(シモン) シルビー・テステュー(アリアーヌ) オリビア・ボナミー 2000年・117分・R18+・フランス・ベルギー合作 原題:La captive 2022・07・14・no91・シネマ神戸no10 追記2022・07・31 この作品の前日に見たジャンヌを同居人にすすめたところ、結果的は酷評でした。この作品を見た時点では彼女はまだ見ていませんでしたが、こっちはすすめませんでした。しかし、もしも彼女が見てきて、こっちは面白かったと言ったらぼくはどうしたらいいのでしょう。ちょっと、そんなふうに言いそうなところもあってビビりますね(笑)。 ああ、それから「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」の感想はこちらです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.05 19:57:29
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