|
カテゴリ:映画 フランスの監督
パトリック・インバート「神々の山嶺」シネ・リーブル神戸 フランスのパトリック・インバートという監督のアニメーション映画で、谷口ジローの同名のマンガ作品をアニメ化した作品ですが、夢枕獏の、もともとの原作は1998年に柴田錬三郎賞を取った山岳小説です。
で、その頃、はまっていた冒険小説というジャンルで、日本冒険小説協会大賞を受賞したこともあって、伝奇バイオレンス系の作品には手を出しかねていた作家だったのですが、この作品は読んで面白かった記憶があります。 新田次郎の「孤高の人(上・下)」(新潮文庫)に、浪人時代生活だったころにはまって以来、山岳小説をはじめ、探検物なんかも好きでしたが、2000年を超えたあたりから、まあ、50歳を境にでしょうか、あまり読まなくなってしまいました。 作画の谷口ジローという漫画家についても「坊ちゃんの時代(五部作)」(双葉社)や「孤独のグルメ」(扶桑社)のファンで読んでいるつもりでしたが、夢枕獏のこの小説が谷口ジローによってマンガ化され、評判をとっていたことには気づいていませんでした。 シネ・リーブルで予告編を見ていて「あれ?」っと、ようやく気付いた次第です。ここの所の暑さに辟易していることもあって、エベレストの風景でも見て涼んで来ようという気分で、久しぶりにやって来たシネ・リーブル神戸でした。 映画はシンプルでした。エベレスト初登頂の謎を巡って、無酸素で未踏ルートに挑む孤高の登山家羽生丈二を山岳雑誌のカメラマン深町誠が追うという構成で描かれた山岳ミステリーでした。 物語の中盤、羽生のザイル・パートナーとして登場し、不幸にも転落死する青年が岸文太郎と名付けられていることにハッとしました。新田次郎の「孤高の人」の主人公加藤文太郎を思い出しながら、夢枕獏の原作のストーリーが浮かんできたからです。 そんなにたくさん見ているわけではありませんが、ヨーロッパのアニメ映画の良さだと、勝手に称賛している静かな映像でつくられていて、特に自然の風景の美しさは、写真ではないかと思わせる細密さで堪能しました。 原画の谷口ジローは、作品の完成を待たずになくなってしまったわけですが、谷口ジローの絵の、ストップモーションの繰り返しのような独特のテンポがそのままアニメーションとして生きていて納得の作品でした。 情動を煽らない、静かなテンポで作品を完成させたパトリック・インバートという監督に拍手!でした。 懐かしさに浸りながら、客も少なく、涼しい映画館というのは、まあ、極楽ですね。 監督 パトリック・インバート 原作(作)夢枕獏 原作(画)谷口ジロー 脚本 マガリ・プゾル パトリック・インバート ジャン=シャルル・オストレロ 音楽 アミン・ブアファ 2021年・94分・G・フランス・ルクセンブルク合作 原題「Le sommet des dieux」 2022・08・02-no95・シネ・リーブル神戸no159 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.09.24 21:14:37
コメント(0) | コメントを書く
[映画 フランスの監督] カテゴリの最新記事
|