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カテゴリ:映画 フランスの監督
フランソワ・トリュフォー「突然炎のごとく」シネ・リーブル神戸 1976年ころに、山根成之という監督で、主演が郷ひろみと秋吉久美子、脚本が、あの頃面白いと評判だった中島丈博の映画で「突然嵐のように」という映画がありました。
まあ、その当時、秋吉久美子は絶対的だったのですが、郷ひろみが思いのほかよくて(えらそうで、すみません。)記憶に残りました。もっとも、同じ監督で、同じ主演コンビの組み合わせで、多分、脚本は違ったと思いますが、「さらば夏の光よ」の2本しか見た記憶がないので、当てにはなりません。 何の話をしたいのかわからないで出しですが、今回見たトリュフォーの「突然炎のごとく」は、どうしても見なきゃと思った理由と、その、郷ひろみの映画の記憶がダブって、何が何だかわからないままシネリーブルにやってきたという話です。 で、フランソワ・トリュフォーの冒険シリーズの2本目は「突然炎のごとく」でした。1964年の映画です。初めて見たのは40年前で、今では精神科の開業医をやっている、まあ、いろいろうるさかった年下の友人が 「ゴダールは知っているか?、トリュフォーは見たのか?」とか、あれこれうるさいので、名画座の特集を探して見た記憶がありますが、 「おっ、これは、いいじゃないか!」という漠然とした記憶しかありませんでした。 ぼくが説明するまでもない有名な作品ですが、原題が「Jules et Jim」とあるように、ジュール(オスカー・ウェルナー)とジム(アンリ・セール)という二人の男性とカトリーヌ(ジャンヌ・モロー)という、まあ、映画の中の表現でいえば「女神の唇」を持つ女性の、意味の分からない三角関係です。 現代であれば「なんとか障害」とかのレッテルを貼られかねないカトリーヌという女性の「こまった症候群」に、あくまでも付き合い続ける二人の男性の姿をボンヤリ見つめながら、破滅しかありえない関係の描き方の徹底性に感動しました。 1910年代の、だから第1次世界大戦前後のヨーロッパ社会を背景にしながら、オーストリアとフランスという敵国同士で戦った青年の友情が、なんだかアホらしいラブ・コメディのテンポで描かれているかのように始まるのですが、ラストはどうも、そうではなかったようです。 「これがフランソワ・トリュフォーなんだよな。」 とかなんとか納得したようなことを感じながら、「これ」が何を指しているのかわからない。まあ、それがトリュフォーなんですね。 40年前には、破滅をものともしない主人公たちの、それぞれの在り方をどう感じていたのでしょう。 どうなってもいいや! とどこかで思っていたあの頃、この映画がジャストミートしたことは間違いないのですが、どちらにしても先が見え始めた年齢になった今は、 「あれから40年経つけど、カトリーヌとか、やっぱりいなかったよな・・・」 という、わけのわからない感慨に浸ってしまいながらも、たとえば、屈託のない明るい笑顔や、美しい凝視から、どことなく苦悩が兆す眼差しへと突然炎のごとく変化していくジャンヌ・モローから目が離せないスリリングな作品でした。 やっぱりカトリーヌ(ジャンヌ・モロー)はよかったですね。拍手!でした。 監督 フランソワ・トリュフォー 製作 マルセル・ベルベール 原作 アンリ=ピエール・ロシェ 脚本 フランソワ・トリュフォー ジャン・グリュオー 撮影 ラウール・クタール 音楽 ジョルジュ・ドルリュー キャスト ジャンヌ・モロー(カトリーヌ) オスカー・ウェルナー(ジュール) アンリ・セール(ジム) マリー・デュボ(テレーズ) ヴァンナ・ユルビノ(ジルベルト) ボリス・バシアク(アルベール) サビーヌ・オードパン(サビーヌ) 1961年・107分・フランス 原題「Jules et Jim」 日本初公開1964年2月1日 2022・10・04-no116・シネ・リーブル神戸no167 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.10.25 23:30:10
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