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カテゴリ:映画 フランスの監督
フランソワ・トリュフォー「大人は判ってくれない」シネ・リーブル神戸 2022年10月9日は雨の日曜日でした。その上、連休の真ん中です。普通は出かけませんが、まあ、見るチャンスが最後なのででかけました。「フランソワ・トリュホーの冒険」シリーズで上映中の「大人はわかってくれない」です。これを見落とすわけにはいきません。 「大人は判ってくれない」、いわずと知れたトリュフォーの始まりの傑作です。見る前から「傑作」というのも、ちょっと、とは思うのですが、40年前に見た記憶が「傑作!」とだけ残っているので仕方がありません。
シネ・リーブルに到着して、映画館のポスターを見て、ハッと気づいて笑ってしまいました。家を出てから、ここまで、「今日見るのは『子供は判ってくれない』だ」と思い込んでいたのです。 なんで、そんなふうに思い込んでいたのか、なんとなく気になりながら予約していたいつもの座席に座りました。日曜でしたが、十数名の「お年寄りの会」でした。 原題の「Les Quatre Cents Coups」は、フランス語なんてできませんが、むりやり直訳すれば「400回の殴打、打撃」でしょうか。両親の不和、先生の無理解、いきなりの平手打ち、いや、ホント、「大人は判ってくれない」仕打ちにさらされ続けるドワネルくん(ジャン=ピエール・レオ)ですが、そこはそれ、この作品から20年、トリュフォー映画の主役を張り続ける少年ですからね、ただでは起きないというやつですね。 最後の最後に、感化院(?)を逃げ出したドワネルくんが海の向こう向かって歩き出して、振り向いてこっちを睨み据えた、その顔に向かって「異議なし!」と、久しぶりに叫びそうでした。 何処まで行っても「判ってくれない」大人たちの社会の現実に対して、あくまでもたたかい続けるこの少年の姿を初めて見たのは40年ほど前のことで、粋がって「異議なし!」と叫んだ(まあ、叫んではいませんが)記憶が沸沸と湧いてくる鑑賞(そんな、ええもんかよ!)だったのですが、寄る年波のせいでしょうか、「なるほど、トリュフォー版『恐るべき子供たち』やな。」という、若干、日和った懐古気分を抱えながら映画館を出ましたが、家にたどり着いたころには、「いや、そうはいっても、子供は判ってくれないよな。」と思う始末で、まあ、元の木阿弥でした(笑) 1960年に日本で初公開されたそうですが、ぼくが見たのは70年代の半ばでした。「アメリカの夜」とか「アデルの恋の物語」が封切られたころで、「ヌーベルバーグを見なくっちゃ!」という焦りのようなものに駆られて、大毎地下だか元映だか、今はもうなくなった名画座で、とにかく地下にあった映画館で見たような気がするのですが、館内には若い熱気が充満していたような印象が残っています。映画にアジテーションの力が、まだ、あった時代だったのでしょうね(笑)。 しかし、もう一度それにしても、最後のシーンは素晴らしいですね。このシーンを残した監督、トリュフォーとドワネル少年に拍手!でした。 監督 フランソワ・トリュフォー 原案 フランソワ・トリュフォー 脚本 フランソワ・トリュフォー マルセル・ムーシー 撮影 アンリ・ドカエ 撮影助手 ジャン・ラビエ アラン・ルバン 美術 ベルナール・エバン 編集 マリー=ジョゼフ・ヨヨット 音楽 ジャン・コンスタンタン 助監督 フィリップ・ド・ブロカ キャスト ジャン=ピエール・レオ(アントワーヌ・ドワネル) パトリック・オーフェイ(ルネ・ビジェー親友) アルベール・レミー(ジュリアン父) クレール・モーリエ(ジルベルト母) 1959年・99分・PG12・フランス 原題「Les Quatre Cents Coups」 日本初公開 1960年3月17日 2022・10・09-no118・シネ・リーブル神戸no168 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.24 21:03:29
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