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カテゴリ:映画 韓国の監督
イ・ギュマン「警官の血」 kino cinema 神戸国際 先日、久しぶりに神戸国際映画館にやってきて、一人鑑賞体験を経験しましたが、それに味をしめて、また、やってきました。見たのはイ・ギュマン「警官の血」です。
チケットブースに行くと、同じように会場図を見せられましたが、今回は会場中央の二つの席が埋まっていました。で、残りは空席でした。 先日より、少し広いホールなのですが、客は三人でした。開場を待って、ホールの前のベンチに座っていると、女子大生風の二人組がポップコーンとか飲み物をトレイに載せてやってきました。 「まだみたいね。ここで待つ!?」 いきなり前に座っていた老人から声をかけられて、ちょっと、ギョッとしたようですが、すぐに笑顔に戻って頷いてもらえました。 「はい、かまいませんよ(笑)」。 と、まあ、厚かましい系老人力を思いっきり発揮して、思いのほか和やかに返答してもらえたので、なんとなくうれしい気分で席に着きました。彼女たちは自由に席を選びなおしていたようですが、ぼくはいつものように、ほぼ最後列の隅っこに座りました。結局、最後まで3人でした。 で、映画です。納得でした。パク・ガンユンという年かさのベテラン刑事と、チョーまじめな青年刑事チェ・ミンジェのコンビを、チェ・ジヌンとチェ・ウシクという俳優が演じる警察ドラマでした。 チェ・ジヌンは、多分、「工作 黒金星と呼ばれた男」で脇役でした。チェ・ウシクは「パラサイト」という映画でで、ソン・ガンホの長男だった人です。最近、ちょっと「ああ、この人は・・・」と気づくようになりましたが、帰宅して確認し直さないと判らない程度ですから、当てにはなりません(笑)。 原作は佐々木譲の「警官の血」(新潮文庫)とのことですが、見終わっての印象では、ほぼ、翻案作品という感じでした。マア、読んだ記憶もあやふやですから、これも当てにはなりません。 納得でしたと書きましたが、理由はうまく言えませんが、まず、人物の描き方というか、主役二人の演技がよかったですね。 ヤクザの代貸役が似合いそうな汚職を疑われているやり手の刑事パク・ガンユンを演じるチョ・ジヌンと、とっちゃん坊やというか、甘ちゃん顔の新米刑事チェ・ミンジェを演じるチェ・ウシクという二人の俳優が、ドラマが展開していくにつれて、だんだん、演技に気合が入っていく印象で、心理の奥の襞の部分がぶつかり合っていると感じさせるセリフ回しとそれに伴う動きに、グイグイ引き込まれました。 話の大筋が読めてきた後半に入ると「で、どうするの?」という気分で、もう、目が離せませんでしたが、まあ、「謎とき」という要素はあるのですが、やはり、主役の二人が作り出す緊張感に酔いましたね。映画を見ていて、この感じは久しぶりでした。特に、坊やの印象だったチェ・ウシクの変貌ぶりは見ごたえがありました。 もう一つは筋立てですね。「警官の血」という小説がそうだったように、父と子のドラマという、まあ、云ってしまえばありきたりな型に沿った筋立てなのですが、そこからどう飛躍すれば、エンターテインメントを見来た観客は納得するのかが、実にうまく仕込まれていて、これまた、ありがちの結末なのですが、後味がよかったことですね。ほんと、うまいものでした。 主役の二人には、もちろん拍手!ですが、日本の作家の原作なのですが、いかにも、韓国の今を感じさせて、かつ、すっきりとした結末で仕上げた監督イ・ギュマンに拍手!でした。 イ・ギュマンという監督も若い人らしいですが、韓国映画のレベルは高いですね。当分、ハマりそうです(笑)。 件の女性たちに「チェ・ウシク君よかったね!」と声をかけたかったのですが、エンド・ロールでトイレに駆け込まなければならないていたらくで、見失ってしまいました。ザンネン! それにしても、なんで、この作品で、観客がたった3人なのでしょうね。それも、また、残念ですね。 監督 イ・ギュマン 原作 佐々木譲 チョ・ジヌン(パク・ガンユン 汚職刑事) チェ・ウシク(チェ・ミンジェ 内偵刑事) パク・ヒスン(ファン・イノ監察部係長) クォン・ユル(ナ・ヨンビン 麻薬組織のボス) パク・ミョンフン(チャ・ドンチョル やくざ) 閉じる 2022年・119分・PG12・韓国 原題「The Policeman’s Lineage」 2022・11・07-no124・kino cinema 神戸国際no7 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.07 10:17:50
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