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カテゴリ:読書案内「くいしんぼう」
檀一雄「檀流クッキング」(中公文庫)・檀太郎「新・檀流クッキング」(集英社文庫) 「100days100bookvoters」と題して、学生時代のからの友人と、コロナ最盛期(今でもかな?)流行った「ブックカバーチャレンジ」という、本の紹介ごっこをして楽しんでいます。1冊目が2020年の5月に始まって、2022年の10月の末で紹介された本が90冊に到達しましたが、90冊目の紹介が檀ふみという女優さんが、お父さんのことを書いた「父の縁側、私の書斎」(新潮社)というエッセイ集でした。
で、マア、名を成した作家の娘が父のことを書くというパターンについて、フェイスブックのコメント欄で、あれこれ、ワイワイ言いながら、この二冊の本を思い出して、探したところ出てきました。 で、1冊目が檀一雄自身のお料理エッセイで、サンケイ新聞に連載していたのが本になって、その後、文庫になった「檀流クッキング」(中公文庫)です。 2冊目が檀太郎という人の「新・檀流クッキング」(集英社文庫)です。檀太郎は、檀一雄の長男です。女優の檀ふみの兄さんですね。 今となっては、2冊とも古本屋さんの棚をさがすほかない本かもしれませんが、わが家の棚には生き残っていました。 早速ページを繰ってみました。本家の檀流クッキングはこんな感じです。 ショッツル鍋 律儀に書き写しながら残念なのが「ショッツル鍋」そのものについて、ぼく自身が何にも知らないことなのですが、文章はいかにも立派な作家による昭和の新聞コラムですね。 昭和44年からサンケイ新聞紙上での連載で、本になったのが昭和45年、1970年のことで、高度経済成長の始まりの頃ですからね。檀一雄は最晩年、といっても、昭和51年、1976年、没後、読売文学賞で讃えられた「火宅の人」(新潮文庫上・下)を書き上げて、63歳という、今考えれば、とても若くしてなくなっているわけですが、その、まあ、多分、今読んでもきっと問題作であろう、だって「火宅」ですからね、と同時に文壇随一の料理人として、お家でつくる「お料理エッセイ」で人気を博していたというのが面白いですね。 で、その後、「檀流」は受け継がれていて、まずは長男の檀太郎さんですが、彼の「新・檀流クッキング」(集英社文庫)に、同じくショッツル鍋のページがありますから、ちょっと引用しますね。 ショッツル鍋 寒さ吹っ飛ぶ 秋田名物ハタハタ料理 あのー。すごいですね。何がって、お父さん、当時、「火宅の人」を書いていらっしゃる最中で、息子さん、「ハーイ」なんですから。思いません?「すごいなあ!」って。 そういえば、津島佑子という、太宰治のお嬢さんが「山猿記」という、母方の祖父の家をモデルにした作品を書いていらっしゃって、そこに登場する太宰は、とてもいい人なのですよね。マア、ほかの人の奥さんと心中しちゃうんですけど(笑)。 マア、そんなことを考えながらこの本を読む人はあんまりいないかもしれませんね。こちらの本は、文庫ですがビジュアル・ブックの趣で、ページがみんな写真版です。昭和58年ですから、1983年の文庫化ですね。 檀流クッキングの系譜は、檀太郎さんが、「読んで見る」料理本としてたくさん出しておられて、続くのですが、系譜の継承者として、最近も頑張っておられて、なおかつ、文章が素晴らしいのが、実は、檀晴子さんなのですね。太郎さんのお嫁さんです。つい最近も、「檀流 スローライフ・クッキング」(集英社)という本をお出しになっていて、これが素晴らしいですね。今日はとりあえず表紙だけ案内して、内容はまた後日ということで、今日のブック・カバーの番外編は終わりますね。いやはや、檀流クッキング、おそるべしでした(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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