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カテゴリ:映画 アメリカの監督
デイミアン・チャゼル「バビロン」109シネマズ・ハット なんだか大騒ぎな感じで、評判の映画のようで、三宮とかの映画館だと混んでいそうなので、ちょっと様子を見ていました。今週から109ハットでやり始めたので、早速やってきました。金曜日の午後でしたが、客は3人で快適でした。
観たのはデイミアン・チャゼル監督の「バビロン」です。3時間を超える長い作品でしたが、納得でした。 1920年代から1930年代のアメリカの映画製作現場を舞台にサイレントからトーキーへと進化(?)していった映画の歴史を描いた、実は、かなり真面目な「映画のための映画」、あるいは、アメリカという社会における「映画」という表象文化についての歴史映画だと思いました。この映画が描いているのがハリウッド前史なのか、ハリウッド全盛史なのか、そのあたりはよくわかりませんでしたが、 「ああ、そういうことか!」という発見に満ちた作品でした。 始まってすぐでした。大きな象、エレファントのあの象です、その象を、当たり前ですが、1920年代のオンボロなトラックに載せて、丘の上のお屋敷まで運ぶというシーンがマニー・トレス(ディエゴ・カルバ)というメキシコ人の使い走りの青年の登場シーンですが、その坂道のシーンで、荷台に乗せた象の重さと勝手な動きで悪戦苦闘するトラックと運転手と助手、そしてマニーですが、とどのつまりには、象のお尻からまき散らされる糞尿まみれになってしまうシーンはなかなか印象的でした。この監督、「ラ・ラ・ランド」のときは想像を絶する渋滞シーンでしたが、うまいものですね(笑)。一気に映画の世界へというわけです。ついでに言えば、この丘の上というのが意味深で、フト、バベルの塔?と思わせないではないのです。 で、ようやくたどり着いたお屋敷ですが、そこで繰り広げられているのが予告編で散々見せられたバカ騒ぎで、そこに悠々と登場するのが大スター、ジャック・コンラッド(ブラッド・ピット)というわです。庭先で騒ぎを起こしているのは売り込みに来た田舎娘ネリー・ラロイ(マーゴット・ロビー)というテンポで映画は始まりました。 トリュフォーの「アメリカの夜」が面白くて、映画史とかの本に引き寄せられたことが、今となってははるか昔にありましたが、この作品が描いている舞台の歴史的時間は、その頃の関心よりも、もう一つ昔でした。1920年代の映画の世界ですね。 見終えて、結局わからなかったのは、この監督が、この映画に「バビロン」という、旧約聖書的な題名をなぜつけたのかという疑問でした。ぼくのような素人にはバベルの塔とバビロン捕囚のイメージしか浮かばないのですが、監督は「バビロン」という題名で何をクローズアップしたかったのでしょうかね。 で、大スター、ブラッド・ピットとマーゴット・ロビーのお二人のことです。いろいろ活躍されていましたが、一番よかったのは、まあ、「皮肉にも」でしょうか、それぞれがスクリーンから去っていくシーンでした。 まあ、映画そのものが、永遠に消えてしまった彼らを再びスクリーンに呼び戻そうという試みだったわけですからそうなるのも当然ですかね。 使い走りだったマニー・トレス(ディエゴ・カルバ)が、1950年代のハリウッドにやって来て、この映画が彼の回想に基づく映画の映画だったことを暗示して映画は終わりました。 3時間、結構、夢中で目くるめく世界に浸りました。で、まあ、実は大真面目な監督デイミアン・チャゼルに拍手!、若かりし日のフェイ・ダナウェイ(僕、この女優さん大好きなんですよね(笑))を彷彿とさせてくれたマーゴット・ロビーに拍手!、ずっと、渋く頑張っていたブラッド・ピットに拍手!、地道な演技で物語を支えてくれたディエゴ・カルバに拍手!、ああ、それから、ジーン・スマートという女優さん、よかったですね。拍手!でした。 監督 デイミアン・チャゼル 脚本 デイミアン・チャゼル 撮影 リヌス・サンドグレン 美術 フローレンシア・マーティン 衣装 メアリー・ゾフレス 編集 トム・クロス 音楽 ジャスティン・ハーウィッツ キャスト ブラッド・ピット(ジャック・コンラッド サイレント映画のスター) マーゴット・ロビー(ネリー・ラロイ 女優志願の田舎者) ディエゴ・カルバ(マニー・トレス 映画の仕事にあこがれるメキシコ人) ジーン・スマート(エリノア・セント・ジョン ゴシップ・ライター) ジョバン・アデポ(シドニー・パーマー 黒人ミュージシャン) リー・ジュン・リー(レディ・フェイ・ジュー サイレント映画の字幕書き) トビー・マグワイア(ジェームズ・マッケイ ギャング) オリビア・ハミルトン(サイレント映画の監督) P・J・バーン ルーカス・ハース マックス・ミンゲラ ローリー・スコーベル キャサリン・ウォーターストン 2022年・189分・R15+・アメリカ 原題「Babylon」 2023・02・17-no022・109シネマズ・ハットno23 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.05 21:37:51
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