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カテゴリ:映画 フランスの監督
クロード・ミレール「勾留」元町映画館 「クロード・ミレール映画祭」という企画を元町映画館がやっています。
1942年、ナチス占領下のパリで生まれた監督の、まあ、ご本人は2012年に亡くなっているらしいのですが、生誕80周年記念特集だそうです。ロベール・ブレッソンの「バルタザールどこへ行く」とか、ゴダールやトリュフォーの作品の制作主任とかやっていたそうだということを知って、ちょっと興味を持ちました。企画は今週で終わります。 「うーん、どうしよう???」 とか、なんとか思いながらやっていた元町映画館でした。 観たのはクロード・ミレール監督の1981年の作品「勾留」でした。日本では、今回の特集上映が、日本では劇場初公開だそうです。 で、ど真ん中のストライク!でした。でも、球種はフォーク・ボールだった気もします。見事に空振り三振をきっしました(笑)。 幼女連続殺人事件の容疑者として公証人の男(ミシェル・セロー)が召喚されていて、尋問をする刑事(リノ・バンチュラ)がK察署に帰ってきて、混雑している一般受付の前を通り取調室に入って来るシーンから始まりました。 訊問が始まりますが、状況証拠しかないようで、刑事と容疑者の会話が、延々と続きます。それが、なんとも、おもしろい! 焦点の定まらない二人の会話に書記役の若い刑事がイラついています。何をのんびりやっているんだ、そんな気分を発散している様子が、タイプライターの扱いかたとか仕草、目つきで伝わってきます。やがて彼は暴発するのですが、これが、また、おもしろい!。 インチキ臭い容疑者を演じるているミシェル・セローです。そして、彼の妻を演じるのが、あの、ロミー・シュナイダーでした。まあ、その時代の映画ですから、当然なのですが、刑事役のリノ・バンチュラともども、やたら懐かしさがこみあげてきて困りましたね(笑)。 この映画のロミー・シュナイダーは、謎の妖艶さに包まれた雰囲気で、まあ、映画の中の人物としてもボクには謎の女性でしたが、ボクの記憶のイメージとは少し違っていて驚きました。すでに晩年というか、ものすごく大人の女性のイメージでした。彼女が亡くなったのは1982年で、43歳だったそうですが、この映画の翌年ですね。 執拗に繰り返され、次第に事実が暴かれていく訊問シーンの会話劇の面白さに酔いながら、灰色の無実でしのぎ切るのかと思いかけたところで、自ら署にやって来た妻の証言によって、ついに、ここまでの証言の破綻を認める公証人に、 「そうか、そうか、やっぱりお前はインチキ野郎だったんだな。」 と納得した途端のドンデン返しの、それも、二連打でスクリーンは暗転しタイトルロールでした。文字どうりアングリでした(笑)。 「ああ、これが映画、いやいや、これこそ映画!ですねえ・・・。」 何よりも、ここまで、渋く渋く観客をひきつけ続けながら、最後には見当違いも甚だしい哀れな(多分?)刑事を演じたリノ・バンチュラに拍手!です。 「で、結局、本当は、お宅ら夫婦の関係はどうだったの?」 と問い詰めたくなるご夫婦を演じたミシェル・セローとロミー・シュナイダーに拍手!。 そして、まあ、ジワジワ、ジワジワと観客をだまし続けたクロード・ミレール監督に拍手!でした。 「凄いじゃないですかこの人!」監督 クロード・ミレール 脚本 クロード・ミレール ジャン・エルマン ミシェル・オーディアール 撮影 ブルーノ・ニュイッテン 音楽 ジョルジュ・ドルリュー キャスト リノ・バンチュラ(刑事) ミシェル・セロー(公証人) ロミー・シュナイダー(公証人の妻) ギイ・マルシャン 1981年・84分・フランス 原題「Garde a vue」 2023・02・14-no018・元町映画館no163 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.24 21:29:25
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