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カテゴリ:映画 グルジア(ジョージア)の監督
オタール・イオセリアーニ「月曜日に乾杯!」シネ・リーブル神戸 オタール・イオセリアーニ特集、3本目は「月曜日に乾杯!」でした。観終えて、思わず笑ってしまいました。 二人の息子のおにーちゃんはお父さんがスケッチ・ブックに描いていた絵を模写して教会で壁画を描いています。多分、映画の舞台はフランスの田舎町なのですが、壁画はジョージアの守り神らしいです。弟君は自転車の部品とかいじるのが好きなようです。 主人公は、よく見ると男前なのですが、なんとなくやる気が出ない感じの中年男です。名前はヴァンサン(ジャック・ビドウ)で、妻(アンヌ・クラブズ=タルナブスキ)と子供が二人います。毎朝工場にやって来て働いています。このルーティーンが面白いのですが、やたら煙草を吸います。家では妻にいろいろいわれて、でも、結構、真面目に家具の修繕とかしています。本当は絵を描きたいようなのですが、そんな落ち着いた雰囲気は家の中にはありません。 ある日、危篤(?)の父親(ラズラフ・キンスキー)を見舞って、父の家にやって来ますが、集まっている人たちを追い払うと、死ぬはずの父親は実は元気で、見ていたぼくの記憶があやふやなので、正確ではありませんが、息子のヴァンサンにこう言います。 「お前は世界を見て回らなければならない。まず、おれの旧友がいるヴェニスに行け!」 で、分厚い札束を渡します。変といえば変な話ですが、なんかワクワクしましたね。 これがイオセリアーニかな? でしたね(笑)。 次の日、いつものように工場にやって来たヴァンサンは、いつものように入り口でタバコを吸い終わっても、中に入りません。で、旅に出ちゃうんです。 もちろん、行先はヴェニスです。で、彼の手には煙草にワインです。まあ、それにしても、この監督の登場人物たちはこの二つがお好きですねえ。ずっとお酒をのんで、タバコを吸っています(笑)。 見ているこっちは 「おいおい、いいのかよ!」なのですが、どうも、 「それでいいのだ!」 のようです。 で、旅先から家には絵葉書を書きます。だって、芸術家の町だし、彼も絵を描きたいんですからね。 留守宅では、奥さんがおかんむりです。夫から来た絵葉書なんて破っちゃいます。そりゃそうでしょう。子供たちは、それぞれ好き勝手にやっていて、でも、お母さんが破り捨てた父さんからの絵ハガキをつぎはぎして、おばーちゃんはそれを大事に壁に貼ります。 まあ、ここから、あれこれお話があるのですが、最後にヴァンサンは帰ってきます。さすがにたじろいでいるヴァンサンですが、気づいた奥さんの言葉がこうでした。 「おかえり。」 えー、それでいいのかよ!なのですが、やっぱり、 それでいいのだ! なのですね。まあ、笑うしかありませんよね。ぼくくらいの御年であれば、まあ、いいかもしれませんが、若い方がこの映画を観て真似したりするのはやめた方がいいと思います。まあ、死にかけの父親が金庫から札束を出して、 「世界を見て来い!」なんていうシチュエーションが夢のようですから、難しいですね。たとえば、ぼくなんかにも似たような年齢の息子は複数いますが、金庫も札束もありませんからねえ。 それにしてもオタール・イオセリアーニ、スゴイです。拍手!です。どこにも角が立っていないのですが、映画の映し出す現実(虚構ですが)のどこかに裂けめというか、割れめというかがあるんですね。だから、たぶん、見ているボクは最後の、いつものルーティーンが、再び始まるシーンにホッとするんでしょうね。 うーん??? 謎は深まるばかりでした(笑)。 でもね、なんだかおもしろいんですよね。 監督 オタール・イオセリアーニ 製作 マルティーヌ・マリニャック 脚本 オタール・イオセリアーニ 撮影 ウィリアム・ルプチャンスキー 美術 エマニュエル・ド・ショビニ 衣装 コーリ・ダンブロージョ 編集 オタール・イオセリアーニ エバ・レンキェビチュ 音楽 ニコラ・ズラビシュビリ キャスト ジャック・ビドウ(ヴァンサン) アンヌ・クラブズ=タルナブスキ(妻) ナルダ・ブランシェ(母) ラズラフ・キンスキー(父) ダト・タリエラシュビリ(息子) アドリアン・パショー(息子) アリーゴ・モッツォ(カルロ) オタール・イオセリアーニ(エンゾ・ディ・マルテイーノ) ジェレミー・ロシニュー(司祭) ヤニック・カルパンティエ(郵便配達人) 2002年・127分・フランス・イタリア合作 原題「Lundi matin」 日本初公開 2003年10月11日 2023・03・11-no035・シネ・リーブル神戸no178 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.10.22 09:14:20
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