|
小澤征爾・武満徹「音楽」(新潮文庫)その1
武満徹という音楽家の名前を初めて知ったのは、これがはっきり覚えていますが、高校2年の時です。 高校2年に進級した時です。大学を出たばかりの社会科の先生が「倫理社会」の担当になりました。何がきっかけだったかは定かではありませんが、まあ、ナツイタとしか言いようのない懐きかたで、高校の近所だった、その先生の下宿に繰り返し押しかけ、書棚に並んでいる蔵書を物色し、持ち帰るようになったのですが、その時、持ち替えった本の一冊が武満徹の「音、沈黙と測りあえるほどに」(新潮社)でした。クラッシックとか、現代音楽とか、いう前に、そもそもラジオしかもっていなかった田舎の高校生だったわけで、音楽とは文字通り無縁な16歳が音楽と出会ったのも、その先生のお部屋のステレオ・セットによって、だったわけで、武満徹のたの字も知らなかったにもかかわらず、何故、「音、沈黙と測りあえるほどに」だったのかは、今となっては謎ですが、お借りして読んだことは間違いありません。 その本で小澤征爾、谷川俊太郎、滝口修三、ジョン・ケージ、大江健三郎、安部公房、という人たちの名前を初めて知りました。 今、こうして思い出しながら、つくづく今は便利な時代ですね。高校2年生で名前を覚えた武満徹や小澤征爾、ジョン・ケージの「音」に出合うのは、それから3年後、大学生になって、その先生から、入学のお祝いということで、お使いになっていたステレオ・セットのアンプとスピーカーをいただき、ターン・テーブルを買い足して聴いたのが小澤征爾のチャイコフスキーとポリーニのショパンでした。 武満徹とかジョン・ケージなんてレコードを探すのが、まず、大変でした。二人のレコードは、その方面が得意な友達の下宿で聞いた記憶があります。 それに引き換え、今では「ノヴェンバー・ステップス」であろうが、ジョン・ケージであろうが、ユー・チューブとかをチコっとすれば聴けるわけで、小澤征爾なんて、いつのどんな演奏でもアクセスできます。すごいものです(笑)。 で、まあ、そういう50年前の思い出を呼び起こしてくれたのがこの本でした。 小澤征爾と武満徹の1981年の対談、「音楽」(新潮文庫)です。1935年生まれの小澤征爾46歳、1930年生まれの武満徹、51歳です。文庫本ですが、懐かしい写真がたくさん入っています。目次はこんな感じで、かなり幅が広くて率直な発言が山盛りです。 【目次】 で、後記 は武満徹、解説を 細野晴臣が書いています。それに加えて、お二人の年譜、 ディスコグラフィがついていますが、さすがにこれは古いですね(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.05.28 01:31:14
コメント(0) | コメントを書く
[読書案内 「芸術:音楽・美術・写真・装幀 他」] カテゴリの最新記事
|