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カテゴリ:映画 アメリカの監督
ジョン・カサヴェテス「アメリカの影」元町映画館 ジョン・カサヴェテスの特集、朝一、元町映画館通いの2本目は「アメリカの影」でした。
1958年の作品です。カサヴェテスという監督は1922年生まれらしいですから、36歳の時の作品ということですね。若いですね。めちゃくちゃ才能と人間性を感じる作品でした。 もう一つ、まあ、見たあとの後知恵なのですが、ニュー・ヨークで暮らすミュージシャンの兄二人と白人にしか見えない二十歳そこそこの妹という、白人と黒人の血を引く3兄妹の日常の姿を描いているこの映画の歴史的背景として、モンゴメリー・バス・ボイコット事件が1955年、ケネディ大統領の暗殺が1963年、公民権法の成立が1964年あたり、1950年代から60年代にかけてのアメリカの事情を思い出しておくとわかりよい気がしました。 「Shadows」という原題を「アメリカの影」という題で日本で公開した、配給会社の時代的気分ということも感じました。 ただ、「Shadows」という複数形が、黒人に対するものだけではなく、女性や貧困に対する差別、蔑視を意識して作られていることは間違いないとも思いました。 まあ、そういう意味で社会的評価というのでしょうか、映画が描いている社会に対する監督の立ち位置には共感と信頼を感じましたが、この映画の面白さは、多分、描き方というか、物語の展開のさせ方と、一つ一つのショットの撮り方ですね。 どいうことかというと、一つ一つのプロットというか、小さな場面の描き方がリアルで丁寧なのですね。具体的に言えば、末娘のレリアの初恋というか初体験(こんな言葉、今でもあるのかな?)が、後半のメーン・プロットです。まあ、見ているボク自身は、そこで描かれる、相手のニックという白人男性と上の兄のヒューのやり取りを見て、ようやく、この映画に差別や蔑視の問題が作品に底流していることに気づくという迂闊さでしたが、そこまでのシーンシーンのやり取りの意味が急に分かり始めて、何の気なしの場面の角の立て方が実にうまいと感心する次第でした。他の場面でもそうですが、日常的なシーンの作り方がリアルで、一方で映画のテーマ、まあ、この映画では差別、あるいは人間的絆ということなのでしょうが、それがジワジワと深まっていくのですね。この深まり方は、この監督に独特のものだと感じました。 イヤーぁ、拍手!やっぱり明日も、朝一に来ますね(笑)。 監督 ジョン・カサヴェテス 脚本 ジョン・カサヴェテス 撮影 エリック・コルマー 編集 モーリス・マッケンドリー 音楽 チャールズ・ミンガス キャスト ベン・カルーザス レリア・ゴルドーニ ヒュー・ハード アンソニー・レイ ルパート・クロス デビッド・ポキティロウ デニス・サラス トム・アレン 1959年・82分・アメリカ 原題「Shadows」 日本初公開1965年2月 2023・08・22・no107・元町映画館no197 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.09.20 22:14:15
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