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カテゴリ:映画 ドイツ・ポーランド他の監督
ヴィム・ヴェンダース「PERFECT DAYS」キノシネマ神戸国際 ヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」を見ました。神戸では、本日、2023年12月22日封切だったのですが、前評判が高いらしく、いつものシネリーブルの予約欄を見て引きました。調べると、旧国際松竹でもやっているようで、そちらの方が少しゆったりだったので、久しぶりにそっちの映画館を選びましたが、行ってみると、やっぱり人が多くて、結局前から3列目で、これまた久しぶりにスクリーンを見上げながら見ました。
朝焼けの遠景が映って、落ち葉を掃いている人がいて、その音で男が目覚めて、起き上がって布団をあげて、八畳一間かなと思っていると、服を着て部屋を出て、階段を下りて台所で歯を磨いて、玄関を出て、そのアパートの駐車場にある自動販売機で缶コーヒーを買って、駐めてあった軽のバンに乗り込んで、カセットテープを探して、挿入して、出発です。暫くして、スイッチを入れると「あっ!」と思う音が流れてきて、映画は始まりました。最初に聞こえてきたのが、多分アニマルズだったと思うのですが、その時点で、ボクは泣いていました。 「ヴェンダースなら、きっと、何にも起きないはずだしなんにも起きなくていいよ、このままでいいよ。」 そのまま、最後まで続きました。さすがですね。何もいうことはありません。ある日の仕事帰り、軽自動車のカーステレオからルー・リードという人の「PERFECT DAY」という歌のさわりだけ聞こえてきました。 聞こえてこなかったサビはこんな歌詞です。 Oh it’s such a perfect dayまあ、こんな歌なのですが、この映画のすべてが下に貼ったこの歌詞の中にあります。缶コーヒーはサンガリアなのかどうかわかりませんし、動物園じゃなくて公衆便所だったり、一杯飲み屋やお風呂屋さんだったりしますが、「君」はホームレスのおじさんや、トイレで泣いている坊や、調子ばかりのいい無責任な同僚や、家出娘や、余命宣告されたおっさんだったりするわけですが、「生にしがみついている」過去を捨てた平山正木(役所広司)さんをkeep him hanging onし続けてくれるのです。 ラストは、役所広司、圧巻の一人芝居です。見ごたえありました。見入りながら、役所広司の到達地点に唸りました。いわゆる、くさい芝居という言い方があって、映画の出だし、彼の芸達者ぶりにふとそんな感じを持ったのですが、ラストの一人芝居には唸りました。拍手!ですね。 何の事件も、サスペンスも描くことなくここまで引き付ける作品を作った監督ヴィム・ベンダースも凄いですね。拍手! 余談ですが、「パリ・テキサス」で母子の体面の部屋を道路から見上げて去っていったトラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)の姿を思い出しました。彼はあれから、何処で、どんなふうに暮らしているのでしょうね。 Perfect Day監督 ビム・ベンダース 脚本 ビム・ベンダース 高崎卓馬 撮影 フランツ・ラスティグ 美術 桑島十和子 編集 トニ・フロッシュハマー リレコーディングミキサー マティアス・ランパート キャスト 役所広司(平山正木) 柄本時生(タカシ・同僚) 中野有紗(ニコ・姪) アオイヤマダ(アヤ・タカシの恋人) 麻生祐未(平山の妹) 石川さゆり(居酒屋の女将) 三浦友和(女将の元亭主) 田中泯(踊っている街角の老人) 2023年・124分・G・日本 2023・12・22・no157・キノシネマ神戸国際 ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.28 23:05:41
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