チャン・リュル「柳川」元町映画館 チャン・リュルという監督は、漢字で書けば張律だそうです。「慶州」という韓国の町を題名にした映画を見て、韓国の監督だと思い込んでいましたが、中国の監督なのだそうです。
元町映画館が2023年の7月に「柳川」、「群山」、「福岡」という、この監督の地名シリーズ(?)を順番にやっているというので、やって来たのが「柳川」です。
北京だかで暮らすおっさんコンビ、チュンとドンという兄弟ですが、が、昔馴染みの女性アー・チュアンが日本の柳川にいるというのでやって来て、ぶらぶらして、帰っていく話でした。
映画を見ている70歳に手が届こうかという老人の眼には、まあ、まだ若いのですが、実は、話の始まりに弟のドンが不治の病だか、余命何カ月だか、と宣告されて兄チュンと会うところから始まりました。
で、
どうするのかなあ?
と思っていると、二人が「あの頃」あこがれていた女性が、正式にはリウ・チュアンという名前で、漢字で書けば柳川、で、日本に柳川という町があって、彼女は、今、そこにいるらしいということで、二人は旅に出て、もちろん行先は「柳川」です。
何だか、
おい!? おい?!
という感じですが、映画の場合は、それでいいのですね(笑)。
で、やってきた柳川ですが、民宿というか、町中にそういう宿があるのか、という感じの宿に逗留して、だから、まあ、件の女性とも再会したりして、ほかにも、あれこれ、ほとんど語るほどのことではないようなことがあって、でも、再会した彼女が歌うジョン・レノンだか、オノ・ヨーコだかの歌に聞き惚れて、彼女が街角で踊り出す姿に見惚れて、宿の少女の様子が心にひっかかって、それって、おそらく、「今日」を生きることに浸ってい、世界を凝視しているかのように感じられる弟の心境というよりも、一緒にここに来て、なんとなく気遣っている兄の心境なのでしょうね、
シーン、シーンが静かに心にしみたのでした。
で、弟の死が伝えられて映画は終わりました。
何処が、どうよかったということはうまくいえませんが、映画の本筋とは、何の関係もないのでしょうが、中野良子さんが飲み屋のおかみさんで出ていらっしゃったことが記憶に残りました(笑)。
チャン・リュルという監督は、どうも、ただものではありませんね。大げさにそうするのは、ちょっと違う気もしますが、拍手!でした。
監督 チャン・リュル
脚本 チャン・リュル
撮影 パク・ジョンフン
美術 ホウ・ジエ
編集 オ・セニョン スン・イーシー リウ・シンジュー
音楽 シャオホー
キャスト
ニー・ニー(アーチュアン)
チャン・ルーイー(ドン)
シン・バイチン(チュン)
池松壮亮(中山大樹)
中野良子(居酒屋の女将)
新音(中山の娘)
2021年・112分・G・中国
原題「漫⾧的告白 Yanagawa」
2023・07・28・no98・元町映画館no191
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