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鶴見俊輔「身ぶり手ぶりから始めよう(その2)」
(「身ぶりとしての抵抗」(河出文庫・鶴見俊輔コレクション2) 「身ぶりとしての抵抗」(河出文庫・鶴見俊輔コレクション2)という本の案内をしようと、2024年のお正月に思い立って、とりあえず、その1で目次とかを紹介したのですが、で、どうしようです。 芸がないのですが、ボクなりに読みながら、 これは、今、読んで身に染みるなあ!という文章を引用・紹介しようという段取りに、とりあえず、落ち着きました。文章が長くて、とても手に負えないものは、部分的になりますが、ああ、そうだよな、と感じた一節の引用です。 で、今回は2011年の3月31日に「朝日新聞」に掲載された記事「身ぶり手ぶりから始めよう」です。 2011年の3月に何があったか。10年以上も昔の話ですから、さあ、なんだったっけ、という反応もあるかもしれませんが、2024年の1月1日、震度7を超える地震が、北陸、能登地方を襲ったことは、さすがに、まだお忘れではないでしょう。 身ぶり手ぶりから始めよう 先日、2024年の1月4日のことです。神戸の地震の後で元町の高架下で古本屋を始めて、おそらく、高架下の再開発計画のせいでしょう、今は、元町商店街あたりで店を出していらっしゃる古本屋さんのご主人と、文庫本を買い求めるついでにおしゃべりしました。 「初めて、店を出したのが震災の後だったので、新聞社の方がいろいろ取材してくださったのですが、あの人たちは、ご自分の、まあ、なんというか、あつらえてきた物語のストーリーに沿って、記事をお書きになるということがよくわかりましたね。私が店を始めたのは、バブルの破綻の影響で会社が倒産して、何かできることをという結果だったのですが、みんな、震災の結果のようにお書きになって、困りましたね。 同年輩のご主人の、とつとつとした語りに引き込まれて、お話を伺いながら、そういえば、あのあたりには、ボクらよりも年上の方たちが大勢暮らしていらっしゃるだろうし、生き埋めになったり倒壊したりの救助作業はもちろんだけれど、無事に家が残った方たちだって、家の中の後片付けの人手だって、ままならないにちがいなし、大きな話をすれば、あのあたりには片手を越える原子力発電所があるはずだし・・・・ 「それはどうなっているのか?」 何にも伝わってこないなあと思いながら、十何年か前のこの文章を読みました。テレビ画面やSNSの画像の中に映る、人々の「身ぶり」に目を凝らして見守りたいという心境になりました。笑えませんね。
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最終更新日
2024.05.25 22:47:15
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