|
カテゴリ:週刊マンガ便「鈴ノ木ユウ・野田サトル」
鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく 7 」(文藝春秋社) 愉快な仲間のトラキチクンが毎月運んでくれる「マンガ便」ですが、2024年の3月の「マンガ便」に入っていたのは鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく 7 」(文藝春秋社)でした。
江戸で剣術修業をしていた竜馬の、土佐への帰国途上のエピソードが描かれていて、幕末の風雲急な時代の始まりを予告する、「竜馬がゆく」という物語の節目の第7巻でした。 ところで、このマンガの原作は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」(文春文庫・全8巻)ですが、実は1962年から1966年にかけて産経新聞の夕刊に連載された新聞小説なのですね。思えば半世紀も昔の作品ですが、作家を、時代を越えた流行作家にした出発点になった作品ですね。 で、もう一つの特徴ですが、一般には、この作品が「歴史事実」に対して「ウソ」=「作りごと」のない「歴史小説」であるかのように読まれてきているのですが、実は 「ウソ、偽り」で面白さを担保した「時代小説」ということですね。 たしかに、歴史上の人物の伝記的事実を柱に描かれていて、いかにも歴史事実を忠実にたどっているかに見えるのですが、実は、司馬遼太郎流といえばいいのでしょうか、想像上の人物を登場させたり、こうであっただろうという、まあ、想像を書き込むことで新聞小説の読者を喜ばせる、あるいは、飽きさせないことを狙ったのだろうと思われる「ウソ」が随所にはめ込まれていて、作家の思惑通り、だから面白いのですね。 この第7巻で、竜馬の一の子分として活躍する寝待の藤兵衛は、司馬遼太郎の創作した最も優れたキャラクターの一人でしょうね。 「このろくでなしが」このシーンそのものが、かなり作り話的だと思うのですが、藤兵衛はもちろんのこと、同席しているのが、三条家で見習いをしている、土佐藩の家老だかの娘お田鶴というのもすごいのですね(笑)。 で、司馬遼太郎のえらいところは、まあ、会話をお読みください、この席で、やがて、 「武士道」を相対化して新しい世界を作り出してゆく坂本龍馬誕生! の、産婆役として藤兵衛に「殺しは殺し、一緒だろ」とと、実の重要な発言させているのです。 坂本龍馬という歴史上の人物の、歴史的改心、あるいは、武士からの脱皮の瞬間をこうして描いてみせるのが「司馬史観」に特有のテクニックですね。 さて、この巻後半、68話から、70話、土佐に帰った竜馬が出会うのはアメリカです。まだ出てきていませんが、この時代の土佐には、あの、ジョン万次郎がいるのですね。楽しみです。 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.20 20:45:32
コメント(0) | コメントを書く
[週刊マンガ便「鈴ノ木ユウ・野田サトル」] カテゴリの最新記事
|