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カテゴリ:週刊マンガ便「コミック」
坂月さかな「星旅少年(2)」(PIE) トラキチクンの2023年12月のマンガ便に、1巻と一緒に入っていたのが坂月さかなくんの「星旅少年(2)」(PIE)です。第1巻と同じく青い表紙のマンガです。 ご覧の裏表紙に描かれている、小道具が「Moon gate mug」とか「II-Yume pillow」とか、横文字で書かれている雰囲気や、主人公の少年は「文化保存局特別派遣員・星旅人・登録ナンバー303」くんなのですが、ほかの登場人物にはある呼び名がないとかいうことに、場違いな老人読者には
それは、なぜ? まあ、そういう、浮かべなくてもいい疑問が浮かんでしまうわけですが、その疑問が解けるにしたがって、このマンガの世界のサミシイ広がりや奥行きもわかってきます。 坂月さかなくんという、おそらく若いマンガ家に、この作品を書かせている、その青い世界のさみしさを、場違いな老人読者にもジンワリと感じさせるところが、このマンガのよさだと思います。 宇宙の果てのような舞台をしつらえながら、まあ、そうしつらえたからこそでしょうが、かなりリアルな「さみしさ」にたどりつくほかないのが現代という時代なのでしょうね。 しかし、「青い宇宙」の果てに「さみ さ」にたどりつくであっても、「さみしさ」という自意識の底に「青い宇宙」を見つけるであっても、その感じ方は、ある意味ありきたりですよね。 で、ありきたりを知っているマンガ家が、様々な、ちょっと、おもしろい「イイネ!」アイテムが考えだしていて、それはそれで、フムフムなのですが、そういうのって、昔はナルシズムと呼ばれて笑いの対象だったと思うのですが、今では、おしゃれなSFファンタジーとして読まれちゃうんですかね?まあ、おしゃれだと思いますけど(笑)。 まあ、そうは言いながら、本巻、最終ページですが、トビアスの木の下で座りこんでいる303君の前にあらわれたトビアスって誰? で、 この二人はなに話すの? というわけで第3巻を待ってしまうのですからしようがありません(笑)。 で、急に話が飛びますが、筒井功という方の「縄文語へ道」(河出書房新社)という著書によれば「青木」とか「青山」、「青谷」という地名に出てくる「青」というのは、縄文時代には「色」ではなくて「葬送の地」をあらわす言葉だったと述べられています。このマンガは、おそらく、宇宙のイメージによっての「青」を背景して描かれていると思いますが、実は、「青」とは「墓場」をあらわす「原日本語」だったかもしれないとなれば、坂月さかなさんが描こうとしているらしい物語世界へ直結するわけで、ちょっと、おもしろいと思うのですが、いかがでしょうね(笑)。
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最終更新日
2024.08.18 01:16:35
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