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カテゴリ:演劇「ナショナルシアターライブ」でお昼寝
NTLive サム・イェーツ「ワーニャ」シネリーブル神戸 実は、ここのところ、珍しく体調を壊していて、徘徊もままならない徘徊老人シマクマ君ですが、今週逃せば見損ないそうなのでやって来たシネリーブル神戸、見たのはNTLiveで、演目は「ワーニャ」でした。アントン・チェーホフの「ワーニャ伯父さん」の翻案(?)でした。まあ、
チェーホフだから、とにかく、行こ!というのが正直なところです。 で、見終えて唸りました。 いやー、すごい! の一言ですね。 原作では大学教授だったアレクサンダーが映画監督ですが、呼び名は同じで、彼の若い妻(エレーナ)がヘレナ、すでに亡くなっている先妻の娘(ソーニャ)がソニア、で、ソーニャが恋する医師(アーストロフ)がマイケルと呼ばれていて、ソーニャの母の兄である主人公ワーニャ伯父の呼び名はアイヴァンとなっていました。ほかにも、祖母エリザベスとか乳母とか、不動産屋とか登場するお芝居ですが、お話が現代風にアレンジされてはいるものの、見終えた印象は、戯曲として読んだことのある「ワーニャ伯父さん」と、まあ、同じでした。 しかし、今回、見ながらへたり込みそうになるほど驚いたのは、まず、上に書き上げた登場人物を、男女をとわずアンドリュー・スコットという俳優さんが、一人で演じたということです。 瞬間、瞬間、いったい誰が誰にしゃべっているのかわからない、複数の人物の、複数のセリフのやりとりを、すべて一人の男性の俳優がやり切っていて、見ていてシラケないどころか、だんだんお話の展開がリアルになっていったことですね。落語のような「語り」ではなくて、戯曲のセリフがそのままです。 開幕直後は、その段取りが理解できませんから、少々当惑しますが、お話が煮詰まってアイヴァン(ワーニャ伯父)が銃(原作ではピストル、この芝居では猟銃)を持ち出したり、モルヒネ自殺を図ろうとするあたりから、ソニア(ソーニャ)の名セリフの山場では、見ているこちらは思わず涙を流してしまうありさまで、久しぶりのチェーホフ芝居に堪能しました(笑)。まあ、あのセリフが聴きたいばかりにやってきたわけですからね、拍手!でしたね。 一人芝居を観るという経験が、あまりないのでよくわかりませんが、この舞台ではアンドリュー・スコットが登場人物全員を演じ、あろうことかヘレナとマイケルの不倫ベッドシーンまで 「ナルホドそうやるのか!」 という艶めかしさで演じてみせて、その直後、部屋に入って来る夫アレクサンダーに早変わりしながら、身づくろいを整えるエレナだったりする場面もあったりして、感心というより、ちょっと笑いそうでしたが、 やるもんですねえ・・・ アンドリュー・スコットという俳優は、同じNTLiveの「プレゼント・ラフター」というお芝居と、サム・メンデス監督の「1917」という映画で見たことがありましたが、今回のお芝居は出色でしたね。 ボクとしては、やはり、 チェーホフが好き! ということがあっての観劇でしたが、もう、何十年も前に見た岸田今日子のラネフスカヤ夫人以来の納得でした。今でも記憶に残っている彼女の舞台上での存在感とは全く違った趣向の舞台でしたが、ボクの中に、新たなチェーホフ戯曲を焼きつけたような印象でした。 役者というのは、ここまでやるんですね! もう一度、拍手!ですね(笑)。 演出 サム・イェーツ 原作 アントン・チェーホフ 脚本 サイモン・スティーブンス キャスト アンドリュー・スコット 2024年・117分・イギリス 原題 National Theatre Live「Vanya」 2024・05・25・no072・シネリーブル神戸no245 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.12 22:18:06
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