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カテゴリ:週刊マンガ便「コミック」
武田一義「ペリリュー外伝 2」(白泉社) 今日は2024年、8月14日です。関西では、所謂、お盆の墓参りの日です。あっちの世界から、帰って来はる魂(?)をお迎えする日です。死ねば死にっきり主義者のシマクマ君は、自分や、家族に連なる、あの世に行ってしまった係累の「魂」をお迎えする行事をほっぽり出して久しいのですが、前日の8月13日に届いたトラキチクンのマンガ便に入っていたこのマンガを読んで、ちょっと考え込んでしまいました。
読んだのは武田一義の「ペリリュー外伝 2」(白泉社)です。 武田一義は、すでに「ペリリュー・楽園のゲルニカ(全11巻)」(白泉社)を上辞していて、まず、その作品が、ボクのなかでは、抜群の傑作なのですが、その作品の完成後、スピンオフというのでしょうか、本編で触れられなかったエピソードを「ペリリュー外伝」として描き続けていて、これはその第2巻です。 『入来周作の戦い』・『戦場からの便り』・『泉康市の願い』・『おぼえていること』・『お父さんへ。』 本巻にはこの五つの短編が収められています。読み終えて、一番残っているのが「戦場からの便り」の中のこのシーンでした。 ペリリュー島を制圧し、残存日本兵の掃討の任務にあたっていたアメリカ軍の兵士デビッド・クレイ一等兵の話です。 彼は戦場から、フィアンセに手紙を書くのですが、戦場で自分がしていることに苦しめられ、手紙に愛の言葉が書けないことに苦しんでいました。 で、結果、こういう死に方をしてしまったというお話です。 このマンガを読んでいた2024年の8月の10日過ぎ、どこかの政党の総裁選だかに出馬がうわされている、元首相の息子とかが、靖国神社に参ったとか、参らなかったとかいうニュースがネット上に飛び交っていました。 あたりまえのことかもしれませんが、このマンガで描かれているデビッド・クレイ一等兵というアメリカ兵は、あの神社には祀られていません。これは、ただの類推ですが、このマンガの中で死んで行った多くの日本兵は遺骨の行方も定かではないし、果たしてあの神社に祀られているかどうか、かなりあやふやな気がします。 で、ついでにいえば、このマンガの戦争で、最高指揮官だった昭和天皇は、戦後この神社への参拝をしていません。東京裁判、極東軍事裁判でA級戦犯として断罪された人たちが合祀されているというのが理由らしいですが、本当の理由は知りません。 で、このマンガの作者、武田一義は、こんなふうに、日本兵もアメリカ兵も、そして、島の住民も描いています。九死に一生を得て、復員、帰国した日本兵の戦後の姿も描いています。マンガのネタとして調べ始めて、描かずにいられないところに来てしまったのでしょうね。大したもんだと思いませんか? イベント化した靖国参拝で浮かれているような、若い国会議員さんたちのアホさを笑うのは70ジジイの得意技ですが、この手の風潮は 「お国のため」とかいう安易なスローガン と手を取り合っていることが多いことには要注意ですよね。 まあ、そういう世間の風潮を、ちょっと考え込むきっかけになった「ペリリュー外伝 2」(白泉社)でした。繰り返しますが、 傑作! です。
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最終更新日
2024.09.04 13:09:51
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