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養老孟司・池田清彦・奥本大三郎「虫捕る子だけが生きのびる」(小学館新書) 今日は養老孟司・池田清彦・奥本大三郎「虫捕る子だけが生きのびる」(小学館新書)です。
ボクにとっては、まあ、どなたも、イロイロ読ませていただいてきて、気に入っている、当然、耳慣れた方たちですが、その三人が集まって「昆虫採集」のお話をなさっている実況中継本です。 結構、有名人だと思い込んでいたので、試しに20歳の女子大生の方たちに尋ねてみると、その場にいた、数十人の方たちが、この三人のどなたもご存知なかったことに、ポカーンでした(笑)。 お三人の中で、「遺伝子がわかる」(ちくまプリマ―新書)の著者で、早稲田の名誉教授、池田清彦さんが一番お若くて1947年生まれで77歳。 「ファーブル昆虫記」を全部訳し直して「完訳版ファーブル昆虫記」を集英社から全10巻で出して、「ジュニア版ファーブル昆虫記」(集英社文庫・全8巻)も世に問うて、結構、読まれた奥本大三郎さんが1944年で80歳。 「バカの壁」(新潮新書)で一世を風靡したのが2003年の養老孟司さんは1937年生まれで、87歳です。20歳の女子大生さんたちには、みなさん、下手をするとひいオジイサンなわけで、知るわけありませんね(笑)。 まあ、それぞれ、山のような著書があって、人気だった方たちですが、20年ほど前の出来事だったのですね。 で、この本ですが、市民図書館の新入荷の棚で見つけて借り出しました。 爺さんたちの虫捕り談義 なわけで、ボクなんかの世代には「昆虫採集」の思い出がありますが、今の若い人には、あんまり一般的じゃないわけで、 まあ、お好きな方たちでどうぞ! というムードの本なのですが、読んでみると、さにあらずでしたね。 文明論から、地球環境とか、温暖化とかについても、街路樹の植え方とか、ゴキブリの生態とかから、都市計画、農業政策に到るまで、あれこれおもしろい話が続くのですが、たとえば、養老先生は「脳」の専門家ですが、ご専門の世界について、 「オッと、これは!」 という話も出てきて、飽きませんね。 で、一つ紹介します。 脳と言葉の関係についてのおしゃべりです、 養老 今、なぜ、子どもに虫を捕らせた方がいいのか。その問題を考えるときに、世間の皆さんに、ぜひ気づいてほしいことがあるんです。それは要するに、脳みそは総合なんだということです。言いかえると、脳の機能は回転なんだということ。 脳が 感覚→脳→身体→感覚・・・・という具合に、情報をぐるぐる回していくことによって活性化する。 というあたりの話は知っていました。 で、 「おっ!」 というのは、まず、 「脳性麻痺の赤ちゃんの場合、かわいそうだから歩かせないでおくと、言葉が出てこないんです。」 というところでした。 最近読んだ岸田奈美さんの「国道沿いでだいじょうぶ100回」(小学館)という著書の中に、ダウン症の弟さんが「ことば」を獲得していく経験について書かれているところがあったんですが、ピタリと符合しますね。 まあ、そのあたりはそっちの本を読んでいただくほかありませんが、 新しい生活環境の中で、新しい情報が「脳」をいそがしく働かせ始めるとどうなるか。 「変化していくものを全部覚え込もうとすれば、脳は壊れちゃうんです。」 で、 概念化! 言葉の登場なのですね。 おー!そうか! そうか! でしたね。いや、ホント、面白いと思いませんか? 脳を壊さないために、ことば! ですよ。 まあ、そこから、どうして子どもに昆虫採集なのというふうに話は進みますが、そのあたりはご自分でお読みください。 「昆虫採集?虫?」 といぶかしむタイプの方には、退屈、あるいは、ええかげんにしてほしい話かもかもしれませんが、なかなか、興味津々でしたよ。
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最終更新日
2024.11.01 00:57:41
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